川合喜明川越市長の「人災」による浸水被害が明らかに

 2017年10月22日深夜、台風21号の影響で暴風雨に襲われた川越市寺尾地区。床上浸水被害は約440戸に及んだが、この日、川越市は被害地区からの災害対策緊急要請を受けながら朝になるまで具体的な対策を執っていなかったことが、地元情報紙・行政調査新聞の取材で明らかになりました。詳細は下記リンクからご一読下さい。

 

 川合喜明川越市長は、11月1日の記者会見で「浸水被害は24日の夕方、ネットで知った」と発言。ところが、川合市長は10月30日に開かれた臨時議会で「市長の判断が必要なことには逐一連絡を受けており、不適切ではなかった。23、24日は通常業務をしていた」などと答弁していました。この2日後の会見で「ネットで知った」と述べた川合市長。明らかな虚偽発言に開き直る川合市長に対して、被災地区住民からは勿論のこと、多くの市民、市議会でもその責任が追及され、新聞朝刊各紙も川合市長の対応を批判的に報じました。

 

 いま、私たちは川合喜明市長から名誉棄損裁判で訴えられ裁判が続いていますが、この訴訟を契機として川越市の有志が立ち上がり、本格的な川合市長糾弾の市民活動が開始されたことは、本会既報の通りです。

 本件災害対策における川合市長の行動律を見るにつけ、全く信用できない人物であることは誰の眼にも明白です。結局、川合市長は被災地区住民に対する謝罪も行っていないというのですから、市長としての職責も市民社会に対する安全に対する優先順位も興味さえないかの自己中心的な言動に、市民の怒りも頂点に達しつつあるというのが川越市民の現状のようです。

 私たちは、引き続き川越市民の皆さんと共闘して、川越市政を正常化させるお手伝いをする所存です。

 


2017年9月19日 第4回口頭弁論のご報告

ついに5度目の書き直しを命じられた原告・川合善明氏による名誉毀損裁判!

 

これまでの本件経緯は、当会サイトの既報をご覧い下さい。

なにしろ、そろそろ盛り上げようもないくらいに同じことの繰り返しで、せっかく現職市長から名誉ある被告にされながら、私たちも多少飽きて来た感さえあります(苦笑)。

 

9月19日午前10時30分。いつもの通り、さいたま地方裁判所・川越支部1号法廷で、本事件の第4回口頭弁論が開廷されました。

結果から先に申し上げれば、前回と同じ(えーと、つまり過去3回と同じ展開)となりました。今回も原告・川合善明氏が提出した準備書面(裁判の前提となる主張を、あらかじめ書面化して裁判所と相手方に提出するもの)が「争点が整理されていない」として、裁判長からやり直しを命じられたのです。

どういうことなのか、よく解りませんので、当方弁護士の出口かおり先生に、以下、解説をお願いしました。

 

出口かおり弁護士

「裁判所の説明は、今回の原告準備書面(3)別紙部分について、名誉毀損部分をまだ適切に書けていない、というものです。

『原告が官製談合を行ったこと、都市計画法違反を黙認したことを摘示したと主張したいことは理解できるが、別紙で挙げた被告による告訴状の記述には、およそ名誉毀損が成立しないであろう内容まで挙げられているし、論評にあたる記述もある。たとえば、官製談合という論評に至る前提事実としての「連続落札」は、連続落札したこと自体が名誉棄損にあたるわけではないだろう。原告は、事実の摘示による名誉毀損としていろいろ主張するものの、別紙の記述は前提事実、推認過程、論評などが混ざっており、これらを整理する必要がある』

―というのが裁判所の意見です。

前提事実とは、見解を表明する前提として指摘する事実のことです。本件では、その前提事実のほとんどが川越市の公文書に記載されているものですから、これら前提事実を挙げたからといって名誉毀損とは言い難いのです。

この前提事実から「これは官製談合の疑いがある」と判断する過程のことを推認過程といいます。そして、前提事実と推認から「こういうことではないのか?」と意見を表明することが論評というものです。

論評でも名誉毀損が成立することはありますが、多様な意見表明がなされること自体は表現の自由として広く保護する必要があるため、意見・論評については、名誉毀損が認められる場合はより限定されています。

原告は、名誉毀損が成立する範囲を限定したくないから、論評ではなく事実の摘示だと主張し、前提事実を含めていくつも事実を挙げていますが、これら全てが名誉毀損部分にあたるという主張は難しいでしょう。

裁判所はこれまで原告に対して何度も、名誉毀損部分の整理を指示してきたのですが、今回もまたそれが出来ていませんでした。

そこで裁判長は、これからどうすれば裁判が進められるかを当事者(原告、被告、裁判所)だけで話し合う「進行協議」を提案し、同日閉廷後に協議が行われました。こうした場では、裁判長は公判よりも具体的な指摘で原告の準備書面の訂正を求めます。これは裁判所が原告に有利なようにしていることではなく、私たち被告側も、原告が争点を整理してくれなければ反論も立証もできないので困るわけです。

 

協議の結果、次回は10月20日までに原告の書面提出として、再び進行協議で原告の主張を確認した後に、弁論(公判での裁判)に戻せるかどうかを判断するということになりました」

 

出口先生、ありがとうございました。

さて、本サイトには読者の方から「このような裁判にいつまでもつきあっていては、川合市政追及の本旨から遠ざかるだけではないか?」とのご指摘を頂く投書も寄せられております。

ただ、本件裁判は当初から私たちは、訴えられたから受けて立ったというだけのことで、もとより川合市政追及活動の戦略として想定していなかったものです。

では、今後、具体的にどのような活動で川合市政追及を行っていくのか?それは、本サイトで逐次ご報告して参ります。

次回も進行協議ですので一般傍聴はできませんが、弁論(公判での裁判)の日程が決まり次第、発表致しますのでご期待ください。

なお、本件の取材活動などで連携しております、行政調査新聞ウェブサイトでも今回の裁判傍聴記が掲載されておりますので、こちらもご覧下さい。

 

 

 


2017年8月26日 第1回川越市民ミーティングに参加しました

ついに川越市民が立ち上がる!大成功の市民ミーティング

2017年8月26日・午後6時、クラッセ川越で記念すべき第1回目の「川越市民ミーティング」が開催されました。この市民集会は、私たちコレクト行政!の川越市民会員が中心となって企画されたものです。

現在、川越市長が私たちを訴えた名誉毀損裁判で私たちの代理人を務める清水勉弁護士、出口かおり先生を講師に迎えて「いま市民が出来ること」をテーマに、川越市政の問題点を共有し、この改革を市民たち自身の手で実現しようとする市民集会です。

当日は地元で有名な花火大会当日にして雨も降る悪天候でしたが、私たちの予想を超える約80名もの市民の皆さんが、ひとり500円の参加費を出して集まりました。

 

川合喜明川越市長による名誉毀損裁判は、奇しくも市民の皆さんの関心を次第に高めることになったと実感できる意義ある集会となりました。

コレクト行政!代表理事でドキュメンタリー映画監督・土屋トカチの開会宣言に続いて、一市民として参加された落語家市議・三遊亭窓里氏こと小林薫川越市議も挨拶され、前半は清水勉弁護士による「名誉毀損裁判」についてのレクチャー(講義)、後半は出口かおり弁護士による「川越市不正市道認定問題」についての解説へと続きました。

レクチャー1 川越市長による名誉毀損裁判について

   清水勉弁護士

 

 清水弁護士はこの日の集会のためにご自身で作成された資料を配布し、私たちの刑事告発に端を発した、これまでの裁判の経過を講義しました。

 改めて解説された本件裁判の要点は以下の通りです。

 

平成28年10月14日、市民T氏ほか4名が川合善明川越市長をさいたま地検に告発、同日に県政記者クラブで記者会見。その様子をホームページで公表。

平成29年1月15日、川越市長選挙、告示。

17日、川合市長が市民T氏を除く4人を名誉毀損で訴える。

22日、投票日(川合候補、当選)。

 

 清水弁護士からは、まず名誉毀損損害賠償請求訴訟が提訴されるまでの「時間」に関する疑問点が挙げられました。名誉毀損は、文字通りそれが自分の名誉を棄損するものであれば、すぐにでも内容証明郵便で警告したり削除要請したり、または数日以内にでも訴えることが普通です。ところが、川合氏は私たちが刑事告発の記者会見を行い、それがテレビ埼玉やインターネットで公表されてから、約3か月も沈黙していたのです。これは名誉毀損の例としては、かなり特殊なケースです。

 それが市長選挙告示の2日後に、川合市長は突然思い出したかのように私たちを訴えました(しかも、理由はわかりませんが、テレビ取材で最も目立っていた市民T氏だけは訴えずに)。

 この点だけでも相当珍しいわけですが、以前から私たちが主張する通り、そもそも本件刑事告発の内容で名誉毀損を訴えること自体、かなり無理があるのです。

なぜなら、私たちの告発内容は、川越市が情報開示請求等によって公開した公文書をもとに「市長の後援会長の会社が市の公共事業でこれだけ多く落札する偏った入札結果とは、明らかにおかしいんじゃないか?検察で調べて下さいよ」と言っただけですから。

事実、原告で弁護士でもある川合市長は「どの部分が名誉毀損になるのか、その主張を明確にせよ」と3度も裁判所から命じられているのです。

このような点について清水弁護士は、参加された市民の皆さんに判りやすく説明しました。

 

レクチャー2 川越市の不正市道認定問題について

 出口かおり弁護士

 

 後半は、出口かおり弁護士によるレクチャー。川越市を拠点とするオピニオン紙「行政調査新聞」が調査し発表した、川越市寺尾大仙波線につながる「ある市道」の問題について、同紙記者で長期に渡って本件を取材してきた大山記者と共に解説しました。

詳しくは、行政調査新聞2017626日付掲載の調査記事をご参照下さい。

要約しますと、ある市民A氏の自宅で行き止まりとなる、わずか200メートルに満たない道路が複雑かつ不可解な経緯で「市道」に認定されたという問題です。

市道とは公道のことですから、公共の利益を目的に設けられる道路でなければならず、川越市の「道路線認定基準」(平成23年当時)でも「道路が一般交通の用に供する状態にあること」や「道路は原則として公道から他の公道に接続していること」などの基準を定めています。

また、同基準では「認定の特例」第3条として「市長は、再認定の場合又は特に公共的若しくは公益的見地から認定することが適当であると認めた場合は、前条の規定にかかわらず、認定することができる」としています。

しかし、問題の短い道路は、まるで神社の参道であるかのように、突き当りに門を構えるA氏宅に続く。なんだか、この市道のおかげでA氏宅はものすごく立派に見えます。どう見ても、公共的、公益的見地から市道にする必要は認められません。だって、A氏の家族、友人、新聞や宅急便の配達員くらいしか、この道の突き辺りまで行く用はないわけですから。当然ながら、突き当りなので他の公道には抜けられません。このような特殊な私道が、なぜ市道に化けるのでしょうか?

ここにも私たちは「川合市政」の問題点を感じずにはいられないのです。つまり、もしも川越市が「川合市政」でなくても、この市道認定がなされていたのか?という疑問です。

この日の市民ミーティングの最後に、再び清水弁護士がまとめのスピーチを次のように述べました。

 

「目的は、“現市長をやっつけろ”ではありません。市の職員にとっていまの職場は働き易い環境になっているとは思えません。市の職員が市民のために働ける環境にすることこそが重要なのです。そのために誰が動くのかということが問題です。市議会が十分に監視役を果たしてくれればいいのですが、現状はそうなっていません」

 

市民こそが川越市政に関心を持って、市政に対して意見を主張していく活動を起こさなければならないということでしょう。

さて、冒頭に記した通り、この日の市民集会は大成功であったといって良いでしょう。この集会は私たちコレクト行政!はお手伝いはさせて頂いたものの主催者ではなく、まさしく川越市民の皆さんが立ち上げたものだからです。

質疑応答の時間では、市民の方々からの熱心な質問もあり、いよいよ川越市民が主権者として決起する予兆を垣間見た貴重な日となりました。これからも不定期ながら、市民ミーティングは続きそうです。

 

そして、この日の最後、現川越市政を改革するための極めて具体的な戦略のヒントが清水弁護士から示唆されました。

私たちコレクト行政!は現在のところ、川合市長に訴えられた「被告」の立場に甘んじておりますが、今後は攻守交替もあり得る展開となることを、気になってこの記事を読んでしまう現川越市政擁護派の方々にも、本文をもって予告させて頂きます。

 

やっと楽しくなってきました。次回の裁判では、原告の川合弁護士側から、何が名誉毀損なのかをちゃんと書いた書面が出て来るはずです。裁判の傍聴は、無料・予約不要です。川合市長を応援している方々も、市職員の方々もどうぞ傍聴にお出かけ下さい。日時は9月19日午前10時半から、場所はさいたま地方裁判所・川越支部です。

 


 

川合善明川越市長による名誉毀損損害賠償請求事件

 

第3回口頭弁論報告

 

 川越市長・川合善明氏を、さいたま地方検察庁に刑事告発(告訴)した私たちコレクト行政!連絡協議会の各メンバーに対して、これを名誉毀損として川合氏がさいたま地方裁判所に訴えた民事事件(平成29年(ワ)第29号 損害賠償請求事件)の第3回口頭弁論が、7月27日午後4時半から、さいたま地裁・川越支部1号法廷で開廷されましたので、その概要を御報告いたします。

 

※ 刑事告訴=被害当事者が捜査機関に対して被害と処罰を申告する手続き

  刑事告発=直接の被害当事者ではない第三者が犯罪事実や疑いについて捜査機関に申告する手続き

  私たち、コレクト行政!の主要メンバーは川越市民と都民が混在しておりますので、本件の場合では川越市民は直接の被害者であるため

  刑事告訴人となり、都民は川越市民ではないため刑事告発人となりますが、記事中は便宜上「刑事告発」と表記を統一します。

 

満席の傍聴人

 

 この日の裁判には、前回を上回る傍聴人が法廷を訪れ、約40席の傍聴席はほぼ満席となりました。多くが一般川越市民でしたが、なかには川越市役所を退職された元市職員の姿もあり、本事件に対する市民の関心が裁判の回を追うごとに高まっているものと実感しました。

 前回口頭弁論と同じく、原告(川合市長側)は原告代理人・佐久間豊弁護士、原告副代理人・坂本慎二弁護士、被告側はコレクト行政!連絡協議会の代理人・清水勉弁護士、出口かおり弁護士と被告の土屋トカチ氏と高橋玄氏が出廷しました。

 さて、今回の口頭弁論は驚くべき幕開けとなりました。

 

原告による、意味不明な新たな主張

 

 3名の合議裁判官が入廷し、一同が立礼して着席後、すぐに野口忠彦裁判長が原告側に「原告にひとつ確認なんですけど、今回の準備書面は前回の主張を撤回したのか、それとも追加ということですか?」と質問したのです。

 これに対して佐久間弁護士は「追加になります」と回答。この瞬間に、被告側・清水弁護士は辟易するように頭を抱えました。

 なぜなら、前回、前々回の口頭弁論で原告は裁判長から「主張を整理するように」と注意をされていたからで、「次回には審理対象が明確になる主張を提出するように」と、いわば宿題を言い渡されていたからです。それにも関わらず原告・川合市長は、前回提出の主張を整理するどころか、新たな主張を追加したわけですから、裁判長が「確認したい」と口火を切るのも当然です。

 

 裁判長ですから表現は慎重ですが、意味としては「裁判所が言ったことを解ってるのか?」と原告に問い質したのと同じです。

 今回、原告が「追加」した新たな主張とは、私たちが刑事告発状に記載した「カナイ消防機材による都市計画法違反」についてです。前回期日までの原告の主張では、この「カナイ消防機材」の部分は名誉毀損として訴えていなかったのです。

 ところが、どういう理由なのか原告はここに来て、私たちの告発による「カナイ消防機材の都市計画法違反」への言及も名誉毀損であると追加して主張したのです。これでは「告発状の全部が名誉毀損」と言っているも同然で、裁判に必要な審理対象が広がっただけで、争点が明らかにされていません。

 

裁判長の苦言―「これでは土俵に上れませんよ?」

 

 そもそも川合市長が名誉毀損だと訴えた私たちの一連の告発行動は、国民、市民としての権利である刑事告発の手続きに則したものであり、主権者として行使した権利に基づき告発事実を記者会見で明らかにし、告発状と同一の書面をマスコミに頒布し、またインターネット上に公開したものに過ぎません。

 仮にこれらの告発行動のなかに名誉毀損に該当する部分があるならば、「この部分が名誉毀損となる」と具体的に特定した主張をして初めて裁判の審理が可能となるのです。

 ところが、川合市長は単に私たちの告発行動それ自体を名誉毀損だと主張するだけで、どの部分がどういう理由で名誉毀損なのかを示すことができないのです。

 この日の法廷でも裁判長は「あの、このままでは告訴状全部が名誉毀損ってことになりかねませんよ?」と苦笑交じりに原告に注意しました。この言葉は「このままでは裁判にはならない」という意味です。

 告発状に書かれている内容には、川越市が公表している事実もたくさん書かれています。それが川合市長に対して名誉毀損になるはずがありません。

 また裁判官は、原告に「これじゃあ土俵に上れませんよ?」とまで警告し、傍聴席からも失笑が漏れたほどです。それも無理はありません。なにしろ「裁判が成立するように、まともな主張に書き直せ」と注意されるのが、これで3回目になるのですから。

 私たちも「いったい、市長も市長代理人も本当に弁護士なのか」と疑いたくなるほどの、杜撰な対応であるとしか言いようがありません。

 

 こうして、第3回口頭弁論は、前回同様、原告が裁判所から再び「宿題」を言い渡され、次回期日を9月19日午前10時30分と決定して閉廷しました

 

 この際、野口裁判長は被告代理人・清水弁護士に「被告の反論は次々回でいいですから」と指示しました。要するに、原告のまともな主張が出来てから相手にしましょうよ、という意味合いです。

 口頭弁論の手続は、毎回、原告と被告で主張と反論を繰り返し争点を絞り込んで行くという進め方をします。それが本事件の場合、野口裁判長は3回とも原告側に書き直しを求めています。こういうこと自体が異常ですが、次回原告が出して来る主張もちゃんとしたものかどうかわからないため、原告が提出する書面をみてから被告側に反論を書いてもらうかどうかを決めましょう、というのはもっと異例です。

 

「ロジカル」であるらしい私たちの告発

 

 一方、被告である私たちコレクト行政!の告発文に関して、前回同様に野口裁判長は「ロジカルな文章」「非常にロジカル」「ロジカルな告訴状だから、これを分解して(どの点が名誉毀損なのかを)指摘することは難しい作業だと思いますが」と評しました。ロジカルとは「論理的」という意味です。前回は「三段論法でよく出来ている告訴状」と言われましたが、今回は「ロジカル」と言ってもらいました。裁判長が名誉毀損で訴えられている被告の文章を褒めるのは珍しいのではないでしょうか。

 勿論、裁判所が私たちに加勢しているわけではありません。客観的に判断して、私たちの告発が証拠に基づいて主張している論理的なものとして完成されているので、前後が相互に関連し合っているから、ごく一部を切り取って名誉毀損だと訴えるのは難しい、論理的な主張をするようにと求めているのです。

 

 しかし、私たちは決して「論理的に告発しよう!」と立ち上がったわけではありません。庶民としての極めて常識的な視線と、主権者としての努めて能動的な権力監視の実践という立場から「これはおかしいだろ」と声を挙げたに過ぎないのです。

 その庶民の声を裁判所が「論理的」と評してくれるならば、これを訴えている川越市長・川合善明氏は「論理的ではない」思考の持ち主だということになります。双方が論理的であれば、裁判での審理はとっくに始まってるはずだからです。

 現在の状況は、形式上、口頭弁論と称していますが、実際には原告の主張が法廷で通用するように書き直されるまで、裁判官も私たち被告も傍聴人も待ちぼうけと肩透かしを食らい続けているだけなのです。

 

清水勉弁護士の熱血レクチャー

 

 ところで、この日は閉廷後に清水勉弁護士が傍聴人の皆さんに「説明します」と、法廷でのやり取りを裁判所のエントランス・ロビーを即席会場にして熱くレクチャーしてくれました。

 というのも、傍聴人から裁判書記官らに対して「なにを話しているのか聞こえない」と苦情が寄せられていたからです。

 開廷中も、裁判官と原告のやり取りが傍聴席からは聞き取れないであろうことを察した清水弁護士は、あえて裁判長の発言を繰り返すかたちで原告に発言していました。

 法廷内には、裁判官席や原告・被告席にマイクが設置されていますが、これは音声を増幅して傍聴人が聞きやすくするためにあるわけではなく、裁判所の音声記録用にあるものです。裁判官によっては、個性として演劇俳優並みに聞き取りやすい声調で発言する人もいますが、裁判は原告と被告と当事者なので、裁判官はその人たちに聞こえればいいと考えて、声を発しているのです。

 また、仮にやり取りが聞き取れたとしても、法律上の技術的な言い回しによっては、一般人には裁判の内容がさっぱりわからないということもよくあります。

 こうしたことを知っている清水弁護士が自ら「説明しますから」と傍聴人を集めて解説をしてくれたことで、皆さんの理解を深めることが出来ました。私たちの代理人ですから内輪褒めのようになりますが、清水弁護士のようなこうした細やかな場面に庶民の視座を持てる法律家は、そう多くはないでしょう。比較するのも清水弁護士に失礼ですが、まさに川合善明弁護士はこの極北にある人物でしょう。

 

未来に向かうということ

 

 なによりも気の毒なのは、市民は勿論のこと、川合市政に従事しなければならない川越市役所職員もまた行政被害者であるという側面です。

 いくら公の職員といえ、公だからこそ上層部が腐敗していても命令指示系統に反することが許されないジレンマのなかで市の職員たちは働かされているのです。市の職員は市民と対立する位置にいるのではありません。市民以上に声を挙げられない被害者なのです。彼らが誇りをもって明朗に仕事が出来るようにならなければ、市民社会も改善、向上できません。

 

 「目標はいまの市政権力を壊すことではありません。壊した後をどうするかということを考えないで突き進んでしまうと、結局、同じことの繰り返しに陥ります。ただ現政権を倒そうというだけでは庶民には未来が見えない。こういうふうに変えて行きましょうというビジョンを示すことが大事なんです」と清水勉弁護士は語りました。

 連日報道される国政のデタラメさは、本事件にも通底します。

 

引き続き、私たちの活動に御支援頂きますよう、お願い申し上げます。

 

 次回 第4回口頭弁論 2017年9月19日(火)午前10時30分

            さいたま地方裁判所・川越支部 1号法廷

            ※ ただし、私たちの反論予定はありませんので盛り上がりに欠けるかもしれません(苦笑)

 

 

資料(被告側準備書面)

 

平成29年(ワ)第29号 損害賠償請求事件

原 告 川合善明

被 告 土屋トカチ 外3名

 

準備書面(2)

 

平成29年7月19日

 

さいたま地方裁判所川越支部民事部合議係 御中

 

被告ら訴訟代理人弁護士  清  水   勉 

同  弁護士  出 口 か り 

 

1 原告は摘示事実を正しく捉えていない

 原告は、裁判所の釈明を踏まえて、訴状及び準備書面(1)における名誉毀損の構成を撤回し、準備書面(2)で改めて主張したものと解される。

 同書面において、原告は、被告らが記者会見を行って告発状を配布するなどし、またウェブサイトへの掲載等によって、①原告が法令に違反してカナイ消防機材に便宜を図った(官製談合を行った)という事実、及び②原告がカナイ消防機材の都市計画法違反を黙認したという事実を摘示したことが名誉毀損の対象事実であると主張する。

 しかし、原告は、被告らが記者会見で述べたりウェブサイトで説明した内容が告発状及びその添付資料の記述であることを踏まえたものであることを前提にした検討をしていない。

 

2 本件における摘示事実

(2)「官製談合」

 原告が問題とする被告らの表現活動は、被告らが提出した告発状を説明した記者会見及びウェブサイトの内容である。

被告ら準備書面(1)2頁で述べたように、告発状及び添付資料は、全体として、被告らが告発人として、川越市の8種類の入札においてそれぞれ年2回、11回連続を初めとして多数回、連続落札している事実に基づいて原告について特定の犯罪行為(談合)の疑いがあるとの見解を表明したものであって、原告がこれらの犯罪行為(談合)を行ったという確定的な事実を摘示したものではない。

 本件で、記者会見での説明及びウェブサイトの記載によって摘示された事実は、原告が官製談合を行った事実ではなく、被告らが、原告について告発状記載の官製談合の疑いがあるとして告発を行った事実と考えるべきである。

 神戸地方裁判所平成20年9月26日判決(乙1)も、町長が談合に関与した疑いがあるとして住民監査請求を行い、これを記者会見で発表した行為が名誉毀損であると訴えた事案において、神戸地裁は、原告たる町長が官製談合に関与したとの事実を摘示したという原告の主張を退け、一般人基準を踏まえて、記者会見によって摘示された事実は、監査請求を行ったとの事実にとどまると解している。

(2)都市計画法第34条1号違反

都市計画法第34条1号違反は、原告に対する刑事告発の対象となるものではないが、原告は、市長として都市計画法第34条1号違反状態のカナイに対して行政指導すべき立場にある。しかるに、これまでカナイに是正指導が行われたことがない。行政指導の怠慢である。

行政法違反状態について自治体の黙認乃至放置について、自治体の最高責任者たる首長の怠慢(黙認)という評価をされることがあったとしても、当然の批判であり、そのことから直ちに首長(原告)の社会的評価を低下させるものではなく、その名誉を毀損するものではない。

 

以上

 

資料(乙1号証)

 

裁判年月日  平成20 926日  裁判所名  神戸地裁  裁判区分  判決

事件番号  平18(ワ)1670号・平18(ワ)2415号

事件名  損害賠償請求事件 〔談合疑惑報道事件〕

裁判結果  請求棄却(第1事件)、一部認容(第2事件)  文献番号  2008WLJPCA09266001

 

要旨

被告Y1及びY2が、原告につき、談合に関与した疑いがあるとして住民監査請求を行い、これを記者会見で発表し、さらに被告会社がこれに関するテレビ報道を行ったところ、原告が、Y1及びY2に対し、上記記者会見により(第1事件)、また被告らに対し、上記報道により(第2事件)、名誉が毀損されたとして、不法行為に基づく損害賠償等を請求した事案において、本件記者会見及び報道はいずれも原告の名誉を毀損するところ、記者会見については真実性が認められるが、報道については真実性も相当性も認められず、取材対象者であったY1及びY2は責任を負わないが、被告会社は責任を免れないとして、100万円の賠償が命じられたが謝罪広告及び謝罪放送の請求は認められなかった事例

 

出典

ウエストロー・ジャパン

 

参照条文

民法709条

民法710条

民法719条

民法723条

 

 

裁判年月日  平成20 926日  裁判所名  神戸地裁  裁判区分  判決

 

事件番号  平18(ワ)1670号・平18(ワ)2415号

 

事件名  損害賠償請求事件 〔談合疑惑報道事件〕

 

裁判結果  請求棄却(第1事件)、一部認容(第2事件)  文献番号  2008WLJPCA09266001

 

 

 

平成18年(ワ)第1670号 損害賠償請求事件(第1事件)

 

平成18年(ワ)第2415号 損害賠償請求事件(第2事件)

 

 

 

兵庫県南あわじ市〈以下省略〉

原告(第1,2事件)

X(以下「原告」という。)

同訴訟代理人弁護士

小西隆

田邉信好

同訴訟復代理人弁護士

松本隆行

白子雅人

兵庫県南あわじ市〈以下省略〉

被告(第1,2事件)

Y1(以下「被告Y1」という。)

兵庫県南あわじ市〈以下省略〉

Y2(以下「被告Y2」という。)

上記両名訴訟代理人弁護士

小田耕平

伊藤明子

戸谷嘉秀

貞本幸男

大阪市〈以下省略〉

被告(第2事件)

株式会社毎日放送(以下「被告毎日放送」という。)

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

前川宗夫

松尾吉洋

 

 

 

主文

 

 

 

 1  被告毎日放送は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成17年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 

 2  原告の被告毎日放送に対するその余の請求を棄却する。

 

 3  原告の被告Y1及び同Y2に対する請求をいずれも棄却する。

 

 4  訴訟費用は,原告に生じた費用の20分の1と被告毎日放送に生じた費用の10分の1を被告毎日放送の負担とし,原告及び被告毎日放送に生じたその余の費用と被告Y1及び同Y2に生じた費用を原告の負担とする。

 

 5  この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。

 

 

 

事実及び理由

 

 

 

第1  原告の請求

 

 1  第1事件

 

  被告Y1及び同Y2は,原告に対し,連帯して1000万円及びこれに対する平成17年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 

 2  第2事件

 

    (1)  被告Y1,同Y2及び同毎日放送(以下,この3被告を指して「被告ら」という。)は,原告に対し,連帯して,1000万円及びこれに対する平成17年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 

    (2)  被告らは,連帯して,読売新聞淡路版朝刊に,別紙1記載の謝罪広告を,別紙2の記載条件で1回掲載し,かつ被告毎日放送が午後6時からの時間帯に放映する番組「○○○」に別紙1記載の謝罪広告の全内容を放送せよ。

 

 

第2  事案の概要

 

  被告Y1及び同Y2(以下,両被告を指すときは,「被告Y1ら」という。)は,兵庫県南あわじ市に合併する前の兵庫県三原郡南淡町(以下「旧南淡町」という。)で町長を務めていた原告について,談合に関与した疑いがあるなどとして住民監査請求を行った上で,これを記者会見で発表し,また,被告毎日放送は,同住民監査請求に関するテレビ報道を行った(当事者間に争いがない事実)。

 

  第1事件は,原告が,被告Y1らが行った上記記者会見によって名誉を毀損されたとして,被告Y1らに対し,不法行為(民法709条,710条,719条)に基づき,連帯して1000万円及びこれに対する平成17年9月13日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

 

  第2事件は,原告が,被告Y1らと共同して被告毎日放送が行った上記テレビ報道によって名誉が毀損されたとして,被告らに対し,不法行為(民法709条,710条,719条,723条)に基づき,連帯して1000万円及びこれに対する平成17年9月13日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに謝罪広告の掲載及び謝罪放送を求めた事案である。

 

 

 1  争いのない事実及び証拠等によって容易に認定できる事実(証拠等により認定した事実については末尾に証拠を掲記する。)

 

    (1)  当事者

 

    ア 原告は,南あわじ市の住民であり,平成17年1月10日まで旧南淡町の町長を務めていた。

 

    イ 被告Y1は,南あわじ市の住民であり,平成17年9月13日当時,南あわじ市の一部住民グループで構成された目安箱市民会議の事務局長であった。

 

  被告Y2は,南あわじ市の住民であり,平成17年9月13日当時,上記目安箱市民会議のメンバーであった。

 

  被告毎日放送は,ニュース,スポーツ,娯楽その他各般の番組を編集して放送することを目的とする株式会社である。

 

    (2)  事実経緯等

 

    ア 被告Y1らを中心とする旧南淡町の住民(下記(ア)について合計222名,下記(イ)について223名)は,南あわじ市監査委員に対し,平成17年9月13日,以下の内容の住民監査請求(地方自治法242条1項)を行った(以下,合わせて「本件各監査請求」という。)。

 

  (ア) 旧南淡町では,原告が以前社長を務めていた株式会社a(以下「a社」という。)が,同町発注の公共工事の44パーセント以上を請け負っている他,原告の親族らやa社の元従業員の関連企業であるb株式会社(以下「b社」という。),cコンストラクション株式会社,d開発株式会社,e土建株式会社,f建設株式会社及びg建設株式会社が,平成16年度発注分の公共工事の78.1パーセントを請け負っている。

 

  原告の関連企業である上記7社が,平成13年度から平成16年度にかけて落札(随意契約を含む。)した公共工事の落札率(落札価格の予定価格に占める割合)の平均は,予定価格の98パーセントである。これに対し,兵庫県の公共工事の落札率の平均は,予定価格の86.9パーセントである。

 

  また,上記各関連企業が行った指名入札については,各社の入札価格がそれぞれ相互に近接しているという特色がある。

 

  同町は,公共工事の入札に当たって予定価格を事前公表していなかったのであるから,仮に,自由競争による入札が行われていたなら,上記各関連企業による落札価格は,兵庫県の公共工事の落札価格と同程度である予定価格の86.9パーセント前後になるはずであった。

 

  これらの経過からすれば,上記関連企業が,原告ら同町の関係者から予定価格などの入札情報の提供を受けたり,相互に談合を繰り返していたことが想起され,そうでなければ,予定価格の98パーセントという高率で落札され続けるという事態が生じるはずがない。

 

  その結果,旧南淡町は,少なくとも兵庫県の公共工事の落札価格の予定価格に占める割合である86.9パーセントと,上記関連企業7社の受けた公共工事における落札価格の予定価格に占める割合との差に相当する11.1パーセント前後の割合による損害を被ったことになり,その損害の総額は16億5944万1000円を下らない。

 

  よって,請求人は,監査委員に対し,同町の損害を確認の上,入札参加業者,落札業者などの責任を有する者に損害賠償を求めるよう,南あわじ市長に勧告することを求める(以下「本件1監査請求」という。)。

 

  (イ) 旧南淡町は,平成13年11月から平成14年8月までの間,福良浄化センター建設用地の先行取得として,a社やh採石株式会社が所有していた土地と建物(以下「本件不動産」という。)を,周辺土地の時価である1平方メートルあたり2万円ないし4万円の数倍に相当する,1平方メートルあたり7万5000円ないし9万円という著しい高額で取得した。

 

  上記先行取得は,旧南淡町の公共用地先行取得特別会計に基づくものであるが,上記のような高額で本件不動産を先行取得しなければならない合理的理由を見出すことができず,時価を超える先行取得費を支出したことは明らかに違法な公金の支出に該当する。

 

  上記公金を支出した旧南淡町町長,支出手続担当者及び本件不動産の売主は,上記違法な支出により旧南淡町が被った損害を賠償する責任がある。

 

  なお,上記公金の支出は,本監査請求より1年以上前に行われたものであるが,先行取得費の総額は明らかにされたものの,本件不動産毎の取得価格は明らかにされなかったことから,請求人は,取得価格が周辺土地の数倍も高額であることを客観的に知り得なかったものであり,本監査請求が公金支出後1年を経過してされたことには正当な理由がある。

 

  よって,請求人は,監査委員に対し,本件不動産の売主,原告,同先行取得に関する支出手続担当者に利得の返還を求めるよう,南あわじ市長に勧告することを求める(以下「本件2監査請求」という。)。

 

    イ 被告Y1らは,本件各監査請求書の提出後,同日中に,同請求書の写しを朝日・毎日・読売・産経・神戸の各新聞社(以下「本件各新聞社」という。)に配布の上,南あわじ市三原公民館において,本件各新聞社の記者出席の下,本件各監査請求書の内容を朗読するなどして記者会見を行った(以下「本件記者会見」という。)。これを受けて,本件各新聞社は,翌14日付けの朝刊に,それぞれ本件各監査請求に関する記事を掲載した。

 

    ウ 被告毎日放送は,平成17年9月13日午後6時23分から同27分にかけて,「×××」という主題で特集を組み,別表放送内容一覧記載のとおりの放送を行った(以下「本件放送」といい,個別の放送部分は同別表記載の番号で特定する。また,本件記者会見と合わせて「本件各行為」ということがある。)。

 

    エ 本件2監査請求は,平成17年9月29日,同請求に係る平成13年度及び平成14年度の用地等取得から住民監査請求期間である1年を徒過しており(地方自治法242条2項本文),また,同期間内に住民監査請求をなさなかったことに正当な理由はないとして(同項但書),却下された(南あ監査第46号)。 (乙6)

 

    オ 本件1監査請求は,平成17年10月13日,談合行為が存在したとの事実が請求人の推定にすぎないとの理由によって却下された(南あ監査第74号)。 (乙4)

 

 

 2  争点に対する当事者の主張

 

    (1)  被告らによる本件各行為の名誉毀損性の有無

 

    ア 本件記者会見について

 

 

  【原告の主張】

 

  被告Y1らは,本件各監査請求書の写しを本件各新聞社に配布した上で本件記者会見を行い,同記者会見において,自らあるいは代理人弁護士らをして,本件各監査請求書記載の内容を読み聞かせるとともに,「当時のX南淡町町長(原告)らが,その関連企業などと官製談合を繰り返した疑いが濃い」,「X前南淡町町長らが,福良浄化センター建設に際して,同人の関連企業などから買収した土地約1万2千平方メートルについても,二,三倍の高額で購入された。」(甲3の4),「旧南淡町において,行政の私物化がなされていたが,行政の私物化はきちんと見直す必要がある。」(甲3の3)などと発言した。

 

  このように,特定の者に対して示された表現行為であっても,その相手方が報道記者であって,他人に伝播する可能性がある以上は公然性があるといえる。

 

  そして,本件記者会見及びそれに基づく本件各新聞社による報道は,原告が,官製談合という違法行為(入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律2条5項3号,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律3条,89条1項参照)に関与し,また,原告の関連会社から不当に高額の土地買収を行い,旧南淡町に損害を与えたとの事実を摘示するものであったから,原告の社会的評価を著しく低下させるものであって,原告に対する名誉毀損行為に該当する。

 

  現実に,平成17年9月14日付け毎日新聞には「X前町長」と実名摘示の上,「官製談合の疑いがあるとして住民監査請求をした」と(甲3の2),同日付け産経新聞には「当時のX町長」と実名摘示の上,「官製談合を疑わせる不自然な形で公共工事を発注したとして住民監査請求書を提出した」と(甲3の4),同日付け読売新聞には「旧南淡町町長」と同地域の住民にとっては事実上原告とわかる摘示をした上,「同町長が以前社長を務めていた建設会社など関連7社が談合を繰り返して落札価格をつり上げ,損害を与えた」,「『町の関係者から予定価格の情報提供を受けたり,相互に談合を繰り返していることを想起させる』とし」と(甲3の3),それぞれ記載されており,原告の名誉が実際に著しく毀損されたことは明らかである。

 

 

  【被告Y1らの主張】

 

  被告Y1らは,本件記者会見において,代理人弁護士に本件各監査請求書の内容を説明,解説させたにすぎず,そこで摘示された事実の内容は,本件各監査請求書や添付の事実証明書の内容そのものである。

 

  そして,本件1監査請求は,原告の関連会社が不正に入札情報の提供を受けたり,相互に談合を繰り返していたことが想起されたことに基づき,それによる旧南淡町の損害の有無を監査委員において確認した上,入札参加者等に対してその賠償を求めることについて,本件2監査請求は,旧南淡町における公共用地の先行取得に関し,違法な公金の支出が行われたとして,原告等に対して旧南淡町の損害の返還を求めることについて,それぞれ南あわじ市長に対する勧告を求めたものであるから,原告が違法な行為を行ったとの事実を摘示したものではない。

 

  これに対し,原告は,本件記者会見において原告が違法な行為を行った事実を摘示されたと主張するが,被告Y1らが本件各監査請求で主張した事実は上記のとおりであって,違法行為の主体を原告に限定した事実はなく,「首長(原告)ら同町の関係者」との表現を用いたのは,住民監査請求における慣用にならったものにすぎない。

 

  加えて,住民監査請求制度が,地方自治における住民参加の制度であり,公共性に関わる事実に関する制度であることからすれば,訴訟を提起する場合等に比べ,名誉毀損事実の有無や内容は自ずと異なってくるというべきであるから,本件各監査請求書の記載事実の説明・解説が,不法行為としての名誉毀損行為に該当することはない。

 

  したがって,被告Y1らに原告に対する名誉毀損は成立しない。

 

 

    イ 本件放送について

 

  【原告の主張】

 

  (ア) 被告毎日放送に対して

 

  テレビ報道の内容が人の社会的評価を低下させるか否かは,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断するのが相当であり,特にテレビの場合は新聞報道とは異なり,音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされるのであり,番組の全体的構成,登場人物の発言内容,フリップやテロップ等の文字情報の内容を重視すべきで,映像の内容,効果音,ナレーション等の全体像から受ける印象等を総合考慮して判断されるべきである(最高裁平成15年10月16日第一小法廷判決・民集57巻9号1075頁参照)。

 

  しかるところ,本件放送は,被告Y1らの発言を何ら検証することもなくそのまま放映している上,原告が不正を行ったとの事実を断定的に表現している。

 

  また,報道は,伝聞や風評という形式でなされる場合が多いが,その場合の摘示事実は,伝聞や風評の存在ではなく,伝聞や風評の内容そのものである(最高裁昭和48年1月18日第一小法廷判決・刑集22巻1号7頁参照)。この点からしても,本件放送で摘示された事実は,談合の疑惑の存在ではなく,談合の事実そのものである。

 

  なお,被告毎日放送は,本件放送の報道対象は,原告ではなく,原告のファミリー企業である旨主張するが,あえて原告の実名を放送していること,「X前町長(原告)のファミリー企業」という表現を繰り返し使用していること,同ファミリー企業の者ではなく原告の弁明を放送していることから,原告を談合疑惑の中心に置いていることは明らかであるし,被告毎日放送の記者で本件放送に携わったB記者(以下「B」という。)も,その証言において,原告を疑惑の中心として本件放送にかかる取材・編集を行ったことを認めている。しかも,上記ファミリー企業という表現自体が,「情実,不正,利権」といった印象を与えるもので,一般人に対し,原告が中心となってその人的・資金的関係の深い企業と共謀して不正を行っているという認識を与えるものである。

 

  したがって,本件放送は,一般視聴者における普通の注意と視聴の仕方を基準とすると,原告が,

 

   a その人的・資金的関係が深い企業に対して,情実によってこれに利益を得させ又は見返りを得る目的で,予定価格などの入札情報提供を繰り返していた

 

   b その人的・資金的関係が深い企業に対して,情実によってこれに利益を得させ又は見返りを得る目的で,約2億8000万円の「税金」がつぎ込まれた平成14年2月28日付企業誘致開発事業用地造成工事(以下「本件造成工事」という。)において予定価格などの入札情報を漏洩した

 

   c その人的・資金的関係が深い企業と共謀して,批判的な言動をする住民に対して不当な圧力を加えていた

 

  との事実を摘示したものであって,これらは原告の社会的評価を著しく低下させるものであるから,被告毎日放送の原告に対する名誉毀損行為に該当する。

 

  (イ) 被告Y1らに対して

 

  被告Y1らは,その意図に沿った内容のテレビ放送が行われることを目論み,被告毎日放送に情報提供を行い,自らの言動を収録させるなど,本件放送に主体的・能動的に関与したものであるから,本件放送による名誉毀損について,被告毎日放送と共同不法行為責任を負う。

 

 

  【被告毎日放送の主張】

 

  (ア) テレビ放送においていかなる事実が摘示されたかは,登場人物の発言内容や文字情報の内容などの言語による表現を重視すべきところ,本件放送は,原告が談合への関与を否定しているというナレーション以外,原告を主語とした表現を用いていない。

 

  したがって,本件放送は,そもそも原告を報道対象としていないのであるから,原告に対する名誉毀損は成立しない。

 

  (イ) 仮に,原告が本件放送の報道対象に当たるとした場合であっても,本件放送は,ある自治体において,その住民が談合の疑惑があると主張して住民監査請求を行ったという報道であり,談合の存在自体を断言したものではないし,同時に,談合への関与を否定する原告側の主張も放送している。

 

  このような報道が,報道対象の名誉を毀損することはない。

 

  (ウ) これに対し,原告は,テレビ放送の特殊性を挙げ,本件における摘示事実は,原告が人的つながりのある企業に対して入札情報を漏洩するなどの不正行為を繰り返していたとの事実や,原告が旧南淡町の住民に対して不当な圧力を加えていた事実であるなどと主張する。

 

  しかし,テレビ放送においても,印象そのものではなく言語による表現が重視されるべきことは前述のとおりであって,原告の主張するところは,単に原告が受けた印象にすぎない。

 

 

  【被告Y1らの主張】

 

  本件放送による原告に対する名誉毀損の成立及び被告Y1らの責任はいずれも争う。

 

    (2)  本件各行為の違法性阻却事由の有無

 

    ア 本件記者会見について

 

 

  【被告Y1らの主張】

 

  (ア) 仮に,本件記者会見によって原告の名誉が毀損されたとしても,その違法性については,それが住民監査請求手続の中で行われたものとして判断されねばならない。

 

  そして,本件各監査請求にかかる事実のように,公共の利害に関する事実については,表現行為がもっぱら公益を図る目的に出た場合には,摘示された事実が真実であることが証明されたときは,その行為には違法性がなく,不法行為は成立しない。

 

  (イ) 被告Y1らは,旧南淡町において行政が私物化されていた状況を受けて,南あわじ市への合併を機に,税金の使途を見直すことを目的として本件各監査請求を行った。そして,事前に新聞記者から住民監査請求の折りには記者会見を開催するよう要請を受けていたことに応え,本件各監査請求書の内容を代理人弁護士にわかりやすく解説してもらうことによって,南あわじ市の住民に新しい市政への参加・関心を呼び起こそうとしたものである。

 

  したがって,本件記者会見は公益を図る目的で行われたものといえる。

 

  なお,本件2監査請求が住民監査請求期間を徒過したのは,先行取得にかかる用地ごとの取得価格が情報開示条例に基づいて初めて開示され,それまで住民が請求の基礎となる事情を客観的に知り得なかったからであり,被告Y1らは,正当な理由(地方自治法242条2項但書)はあったと考えていた。

 

  その他,被告Y1らの目的に関する原告の主張は,いずれも同目的の公益性を否定する理由とならない。

 

  (ウ) そして,被告Y1らが本件記者会見で公表したのは本件各監査請求書の記載内容,すなわち,a社とその関連会社が,旧南淡町における平成16年度発注の公共工事の78.1パーセントを請け負っていること,同関連会社の落札価格の平均が予定価格の98.0パーセントであること,入札価格が近接し,ばらつきがないこと,旧南淡町では,予定価格の事前公表が行われていないこと,旧南淡町における本件不動産の取得価格は,1平方メートルあたり7万5000円ないし9万円であったこと,本件不動産の周辺土地の時価は,1平方メートルあたり2万円ないし4万円であったこと,被告Y1らは,上記事実に基づくと談合が想起されるとして本件各監査請求を行ったことであり,これらはいずれも真実である。

 

  (エ) 仮に,原告の主張するように,原告が,人的つながりのある企業に対して,入札情報を漏洩するなどの不正行為を繰り返していたこと,原告が,人的つながりのある企業から本件不動産を不当に高額で先行取得し,違法な公金支出を行ったことが真実性の証明対象事実であったとしても,これらの事実は,以下のとおり,証明可能な程度に真実である。

 

   a 本件1監査請求について

 

  落札率は,談合しているかどうかを判断するための基準になり,落札率が高いほど談合の疑いは強いといえ(乙9,10),予定価格の97パーセントを超える入札は,通常,自由競争において,真実,工事の受注を希望しての入札であるとは考え難い(金沢地方裁判所平成17年5月16日判決。乙12)。しかるに,被告Y1らが情報公開条例に基づく開示請求や商業登記簿謄本等信頼性の高い資料から得られた本件1監査請求書記載の事実に照らせば,a社を始めとする入札業者が,原告ら旧南淡町の関係者から予定価格などの入札情報を受けるなどして,入札業者間で,本命業者に落札させる旨の合意を形成し,その合意に基づいて各業者が入札したという事実は,極めて高い蓋然性をもって証明することが可能な程度に真実である。

 

  なお,原告は,本件1監査請求書に記載された兵庫県の落札率に誤りがある旨主張するが,上記のとおり,談合が疑われる根拠としては旧南淡町における平均落札率が98パーセントであることだけで十分であり,兵庫県の落札率は,損害額の概数を記載するためにすぎないから,原告の上記主張は,本件における名誉毀損の成否には関係しない。

 

   b 本件2監査請求について

 

  被告Y1らの調査によれば,旧南淡町が本件不動産を先行取得した価格は,平成13年から平成14年にかけての同土地の周辺時価(路線価)の二,三倍もの高額であった。上記事実から,旧南淡町に損害が発生したことは,証明することが可能な程度に真実である。

 

 

  【原告の主張】

 

  (ア) 以下の諸事実にかんがみれば,本件記者会見が,被告Y1らの利己的な意図に基づき,ひとえに原告の社会的評価を低下させるためにされたものであって,公益を図る目的が存しないことは明らかである。

 

   a 被告Y1らは,本件1監査請求の根拠として,旧南淡町の公共工事における落札率の高さを問題とする。しかし,被告Y2が市議会議員を務める南あわじ市における落札率は平均98.01パーセント,南あわじ市合併前の西淡町における平成13年度ないし平成16年度の平均落札率は96.8パーセント,同三原町における平成13年度ないし平成16年度の平均落札率は96.56パーセント,同緑町における平成15年度及び平成16年度の平均落札率は93.44パーセントで(甲10の2ないし8),いずれも水準はほぼ同じであるところ,あえて旧南淡町のみを問題とした点について,被告Y1らから合理的な説明はない。

 

  被告Y1らが,いずれも住民ではなかった旧南淡町の入札について本件各監査請求や本件記者会見を行ったのは,同人らが同記者会見の翌月に行われた南あわじ市市議会議員選挙に立候補していること(甲35,36)を併せ勘案すると,原告の社会的評価を低下させるセンセーションを巻き起こして,市政浄化を図る自らのイメージの獲得を目指した疑いが濃厚であり,恣意的で利己的な意図・目的に出たものというべきである。

 

   b 本件2監査請求は,住民監査請求期間を明らかに徒過した後になされたものであるところ,被告Y1らの主張によっても,何らその正当性は基礎付けられていない。

 

   c 被告Y1らの代理人の一人である小田耕平弁護士(以下「小田弁護士」という。)は,南あわじ市の顧問弁護士をも務めており,本来であれば,同市の代理人として本件各監査請求に対する対応をとらねばならない立場にある。それにもかかわらず,同弁護士は,Bに対し,その提起前に本件各監査請求の情報を提供した。

 

   d 被告Y1らは,合計222名ないし223名の署名を集め,弁護士に依頼の上で本件各監査請求を行い,記者会見及びテレビ放映まで行っておきながら,その却下後,住民訴訟を提起していない。

 

   e 被告Y2は,自らが代表取締役を務める企業が行った工事によって,南あわじ市議会議員政治倫理条例12条2項違反に問われている(甲25)。

 

  (イ) 本件における真実性の証明対象事実は,原告が,人的つながりのある企業に対して,入札情報を漏洩するなどの不正行為を繰り返していたこと,及び原告が,本件不動産を,人的つながりのある企業から不当に高額で先行取得し,違法な公金支出を行ったことである。なお,上記の前提として,談合が存在しなければ原告にそのような非難は生じ得ないから,談合が存在したことの証明も必須である。

 

  これらについて真実であることが被告Y1らによって証明されない以上,被告Y1らの行為の違法性が阻却されることはない。

 

  しかるに,そもそも旧南淡町において談合の事実はないし,旧南淡町において,公共工事の入札に関する決裁権者は助役であったから(甲21),原告が談合に関与したとは疑いようがない。さらに,本件1監査請求書に原告の関連企業として記載されている会社のうち,a社とb社を除く会社は,原告の関連企業といえるようなものではない。なお,被告Y1らは,本件1監査請求書において,兵庫県の平均落札率を86.9パーセントとしているが,その算出根拠には合理性がない。

 

  また,本件不動産の先行取得価格は,不動産鑑定評価書(甲14)に基づいて適正に定められたものであり,これが著しく高額であったとの事実は虚偽である。

 

    イ 本件放送について

 

 

  【被告毎日放送の主張】

 

  (ア) 本件放送が,公共の利害に関する事実について,もっぱら公益を図る目的でされたことは明らかである。

 

  (イ) 本件放送の目的は,旧南淡町の住民が同町で談合疑惑があると主張して本件1監査請求を行ったことを伝えることにあったから,真実性の証明対象事実は,談合疑惑があると主張して,住民が住民監査請求を行ったことであり,同事実が真実であることには争いがない。

 

  (ウ) 仮にそうでなくとも,本件放送は,談合が存在するとの断定的表現を一切用いていないから,真実性の証明対象事実は,疑惑の存在というべきである。また,本件放送は,旧南淡町の住民が「談合の疑惑が存在する」と主張している事実を明確にとり上げたものであるから,伝聞や風評の形で事実を摘示する報道と同視することはできない。

 

  そして,住民らは,情報公開条例に基づく請求証拠,議会議事録等,社会通念上信頼性のある資料を収集の上,本件各監査請求に及んだのであるから,談合の存在について合理的疑惑が存在することは明白である。

 

  (エ) 仮に,原告の主張するように,談合の存在及びこれに対する原告の関与が真実性の証明対象事実であったとしても,被告Y1らが主張するとおり,本件各監査請求に当たって被告Y1らが収集した証拠ないし情報によれば,談合及びこれに対する原告の関与の事実が真実であることは強く推認されるというべきである。

 

 

  【原告の主張】

 

  前記(1)イ【原告の主張】のとおり,本件放送は,字幕,音声,演出等を総合すると,一般の視聴者が普通の注意を持って見た場合に,原告が,

 

   その人的・資金的関係が深い企業に対して,情実によってこれに利益を得させ又は見返りを得る目的で,予定価格などの入札情報提供を繰り返していた

 

   その人的・資金的関係が深い企業に対して,情実によってこれに利益を得させ又は見返りを得る目的で,約2億8000万円の「税金」がつぎ込まれた本件造成工事において予定価格などの入札情報を漏洩した

 

   その人的・資金的関係が深い企業と共謀して,批判的な言動をする住民に対して不当な圧力を加えていた

 

  との事実を摘示したものである。

 

  したがって,上記事実が真実であることが証明されない以上,本件放送の違法性が阻却されることはない。

 

    (3)  被告らの有責性の有無

 

    ア 本件記者会見について

 

 

  【被告Y1らの主張】

 

  仮に,被告Y1らの摘示した事実が真実であると証明されないとしても,同被告らにおいて,その事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには,同被告らには故意又は過失がないこととなり,名誉毀損は成立しない。

 

  前記(2)ア【被告Y1らの主張】のとおり,高い落札率はそれだけで談合の存在を疑わせる資料となるものであり,さらに,被告Y1らは,前記金沢地裁の判決(乙12)を参考に,情報公開条例に基づく請求や法人登記簿謄本,不動産登記簿謄本,議会や委員会の議事録,インターネットなどによって得られた資料から十分な調査を行ったものであるから,同摘示事実を真実であると信じるについて相当の事由があったというべきである。

 

 

  【原告の主張】

 

  本件1監査請求にあたり,被告Y1らの主張する一見高率に見える落札率は,談合等の行為を推定させるものではなく(甲5ないし8参照),他に談合の存在を推定させる資料はない。なお,原告が引用する金沢地裁の裁判例は,本件のような官製談合にまで射程が及ぶものではない上,名古屋高裁金沢支部での控訴審において,談合が認定できないとして取り消されており(同庁平成19年1月15日判決。甲9),先例としての力を有しない。

 

  仮に,被告Y1らが提出する資料から談合の存在が推定されるとしても,それは原告が談合に関与したことを推定させるものでは有り得ない。

 

  本件2監査請求にあたり,住民監査請求期間内に周辺土地との価格の比較がなしえなかったとはいえず(乙6),そもそも,その取得価格については,当該土地の鑑定を経た上,その結果を踏まえて町議会の議決を経て買収したものである。その不動産鑑定書(甲14)は公文書公開請求によって容易に入手,検討できるものであったのに,被告Y1らはこのような検討を一切行っていない。

 

  以上の事実に加え,前記(2)ア【原告の主張】にも照らせば,被告Y1らにおいて,本件記者会見で摘示された事実を真実と信じたとしても,そのことに相当な事由はない。

 

    イ 本件放送について

 

 

  【被告毎日放送の主張】

 

  (ア) 仮に,真実性の証明対象事実が談合の存在であったとしても,被告毎日放送には,これを真実と信じるに足りる相当な理由があったというべきである。

 

  被告毎日放送のBは,小田弁護士から本件各監査請求書の案を入手し,同請求書案について伊藤明子弁護士(以下「伊藤弁護士」という。)から資料の提示とともに詳細な説明を受けた上で,被告Y1らや旧南淡町の住民に対するインタビュー及びカメラ取材を行った。

 

  被告毎日放送は,上記調査で得られた情報が客観的な資料に依拠したものであったことから,その内容が合理的であると判断したものであり,これを真実と信じるに足りる相当な理由があったといえる。

 

  (イ) また,仮に真実性の証明対象事実が談合疑惑の存在であったとしても,上記の理由で被告毎日放送が疑惑の存在を信じたことにつき相当な理由があったというべきである。

 

  なお,報道機関は,提訴や住民監査請求の申立ての事実を報道するにあたっては,それらが濫訴の類に属さず,法律の専門家たる弁護士の検討を経た結論に相当程度の合理性があるといえる場合には,それ以上独自の調査を義務付けられることはないというべきである。

 

 

  【原告の主張】

 

  テレビ放映という形式でなされた名誉毀損の程度は比類なく深刻であり,被告毎日放送の調査能力は一般人と比べて格段に高いのであるから,相当性の有無の判断も厳格となる。

 

  ところが,被告毎日放送は,本件記者会見と同日である平成17年9月13日午後6時23分から本件放送を行ったものであり,同報道にあたっては,被告Y1らの情報のみに依拠し,独自の裏付け調査を全く行っていない。

 

  そもそも,本件各監査請求は官公庁情報に取材源をおく場合とは異なるから,報道機関は,その報道に当たって独自に裏付け調査を行う義務を免れるものではないし,被告毎日放送が依拠する被告Y1らの提出資料も,何ら談合の存在や同談合への原告の関与を裏付けるものではない。現に,朝日新聞社や神戸新聞社は,談合の疑いについて言及するも,原告の関与を示唆するような報道はしていない。

 

  また,被告毎日放送が,「住民グループは,第2弾,第3弾の談合疑惑を追及していきたいとしています。」と放送し,何重にも疑惑を煽りつつ,その後に何の報道も行わなかったのは相当な資料,根拠に基づかない報道を行ったことの証左でもある。

 

  したがって,本件放送に当たっての被告毎日放送の注意義務違反は明らかであり,被告毎日放送において,本件放送で摘示された事実を真実と信じたとしても,そのことに相当な事由はない。

 

    (4)  原告の損害の有無及び損害額並びに謝罪広告・謝罪放送の要否

 

 

  【原告の主張】

 

  本件記者会見,それに基づく本件各新聞社の新聞報道及び本件放送によって,多数の旧南淡町民が,既に原告が逮捕されたのではないかなどとの印象・感銘を受け,原告宅に駆けつけてくるなど大きな反響を呼んだのであり,原告の妻は婦人会等の世話役を辞めざるを得ず,原告の実母も外出を控えざるを得ない状況となった。

 

  このような事実から明らかなように,原告は,被告らの名誉毀損行為によって,著しく社会的評価を低下させられ,甚大な被害を被った。原告の上記損害に対する慰藉料は,本件記者会見及び本件放送の各行為について,それぞれ1000万円を下らない。

 

  さらに,本件放送による侵害の甚大性にかんがみれば,読売新聞淡路版朝刊に,別紙1記載の謝罪広告を,別紙2の記載条件で1回掲載し,かつ被告毎日放送が午後6時からの時間帯に放映する番組「○○○」に別紙1記載の謝罪広告の全内容を放送させることが相当である。

 

 

  【被告らの主張】

 

  否認ないし争う。

 

第3  当裁判所の判断

 

 1  争点(1)(被告らによる本件各行為の名誉毀損性の有無)について

 

    (1)  本件記者会見について

 

    ア(ア) 被告Y1ら及びその代理人弁護士が,本件記者会見において,本件各監査請求書の写しを交付し,その内容を朗読,解説するなど,同請求書の記載に沿った発言をしたことは当事者間に争いがない。なお,被告Y1ら代理人弁護士の発言は,被告Y1らの代理人として発言しているものと認められるから,その発言内容も含めて,被告Y1らの発言の名誉毀損性を判断するのが相当であると解される。したがって,以下,本件記者会見における被告Y1らの発言とその代理人弁護士の発言とは,特に区別することなく,全て被告Y1らの発言として説示する。

 

  (イ) この点について,原告は,新聞記事(甲3の3,3の4)を引用して,被告Y1らは,上記発言に加え,「当時のX南淡町町長(原告)らが,その関連企業などと官製談合を繰り返した疑いが濃い」,「X前南淡町町長らが,福良浄化センター建設に際して,同人の関連企業などから買収した土地約1万2千平方メートルについても,二,三倍の高額で購入された。」,「旧南淡町において,行政の私物化がなされていたが,行政の私物化はきちんと見直す必要がある。」などと発言した旨主張する。

 

  そこで検討するに,上記の発言内容は,本件各監査請求書の記載と同旨であり,新聞記事の記載内容からも,概ねそのような趣旨の発言がなされたと認められる。また,上記の発言は,本件各監査請求書に記載がないけれども,新聞記事において,代理人弁護士の発言として「」付きで記載されており,被告Y1ら自身,本件各監査請求を行った契機として本訴でも主張しているところであるから,そのような趣旨の発言がなされたものと認められる。

 

  (ウ) したがって,被告Y1らは,本件記者会見において,本件各監査請求書の内容を朗読し,同監査請求書の記載に沿った説明を行った他,上記ないしの発言をしたことが認められる。そして,本件記者会見の全体を通じてその発言内容をみれば,上記及びの発言は,本件各監査請求書の説明の一環として述べられたものであり,上記の発言は,代理人弁護士ないし被告Y1らが,本件各監査請求書に記載された事実を基礎に意見を表明したものと認めるのが相当である。

 

    イ(ア) 本件記者会見が人の社会的評価を低下させるか否かについては,一般人の普通の注意と受け取り方とを基準として判断すべきものである(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)。

 

  そして,本件記者会見によって摘示された事実がどのようなものであるかという点についても,一般人の普通の注意と受け取り方とを基準として判断するのが相当である(最高裁平成15年10月16日第一小法廷判決・民集57巻9号1075頁参照)。

 

  上記認定事実からすれば,本件記者会見は,全体として,被告Y1らが,

 

    原告の関連企業が,原告を始めとする同町の関係者からの情報提供に基づき旧南淡町の公共工事について談合を繰り返していることが想起されるとして,本件1監査請求を行った

 

    原告が町長をしていた旧南淡町が,原告の関連企業から本件不動産を周辺土地の時価の数倍という著しい高額で購入したことが違法な公金の支出に当たるとして,本件2監査請求を行った

 

  との事実を摘示したものというべきである。

 

  (イ) これに対し,原告は,本件記者会見において,原告が官製談合に関与し,また,人的つながりのある企業から本件不動産を不当に高額で先行取得し,旧南淡町に損害を与えたとの事実が摘示されたと主張する。

 

  しかし,本件記者会見は,本件各監査請求がなされた当日に行われたものであり(前記第2の1(2)イ認定),本件各新聞社による報道も,上記の内容で本件各監査請求がなされたと報じているのであって(甲3の1ないし3の4),上記報道に接した一般人の普通の注意と受け取り方を基準として判断すれば,本件記者会見は,被告Y1らが,上記の内容で本件各監査請求を行ったとの事実を摘示したにとどまると解するのが相当である。

 

  また,原告は,本件各新聞社による報道等によって,旧南淡町の住民は,この時点で旧南淡町町長が既に逮捕されたのではないかなどとの印象を受け,多数の住民が原告宅に駆けつけてきた旨主張し,供述する。

 

  しかし,本件各監査請求がなされた当日は,本件記者会見の他に,本件放送もされている(前記第2の1(2)ウ認定)のであるから,本件各新聞社による報道がどの程度影響を与えたかは必ずしも明らかではない上,原告宅に駆けつけてきた人の多くは原告の知人ないし支援者であると推認されるから,一般人の注意と受け取り方を基準とした上記の判断を左右する事情であるとは必ずしもいえない。

 

  (ウ) 以上の点に加え,本件各監査請求書の記載は,いずれも簡潔な内容であり,問題とする談合及び違法な公金支出に関して,行為主体を原告一人に断定していない上,原告の行為ないし関与形態が具体的には示されていないことに照らせば,同請求書の記載に沿った説明をもって,原告が官製談合に関与したとの事実や,原告が旧南淡町の町長としてことさらに高額の土地買収を行ったとの事実を摘示したものであると認めることは困難であり,他にこれを認めるに足りる証拠はない。

 

    ウ もっとも,本件記者会見における事実の摘示が上記のとおりであるとしても,旧南淡町の公共工事に関して,原告の関連企業の間で談合が行われたことが想起されるとして住民監査請求がされ,また,旧南淡町において違法な公金の支出が行われたとして住民監査請求がされたことに加え,行政の私物化があった旨の発言がされれば,一般人の受け止め方として,被告Y1らの主張が真実かどうかは最終的には監査委員の判断を待つ必要があると理解しつつも,原告が,旧南淡町において,専断的な行政を行い,自身の関連企業に情報を提供するなどして談合に関与し,また,公金の支出に関して違法あるいは違法を疑わせる行為を行った可能性があるとの印象を持つ者が相当数いるものと考えられる。この点,被告Y1らは,違法行為の主体を原告に限定した事実はなく,本件各監査請求書の「首長(原告)ら同町の関係者」との表現を用いたのは,住民監査請求における慣用にならったものにすぎない旨主張するが,表現の受け手としては,代表として挙げられ,かつ,旧南淡町の首長という立場にあった原告を主体と受け取るのが通常と考えられるから,被告Y1らの主張は採用の限りではない。

 

  そして,町の公益の代表者たる町長において,同町の公共工事について談合に関与することや,公金を違法に支出することがおよそ許されざる行為であることにも照らせば,本件記者会見は,原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものといえる。

 

    (2)  本件放送について

 

    ア テレビ放送の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについては,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断すべきであり,テレビ放送によって摘示された事実がどのようなものであるかという点についても,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断するのが相当である。そして,テレビ放送においては,新聞記事等の場合とは異なり,視聴者は,音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされるのであり,録画等の特別の方法を講じない限り,提供された情報の意味内容を十分に検討したり,再確認したりすることができないものであることからすると,当該テレビ放送により摘示された事実がどのようなものであるかという点については,当該テレビ放送の全体的な構成,これに登場した者の発言の内容や,画面に表示された字幕等の文字情報の内容を重視すべきことはもとより,映像の内容,効果音,ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して,判断すべきである(前掲最高裁平成15年10月16日第一小法廷判決参照)。

 

    イ これを前提に,前記第2の1(2)ウで認定した本件放送の内容から,本件放送においていかなる事実が摘示されたかについて検討を加える。

 

  (ア) 談合及び同談合への原告の関与について

 

   a 原告は,本件放送によって,原告がその人的・資金的関係が深い企業に対して,情実によってこれに利益を得させ又は見返りを得る目的で,約2億8000万円の税金がつぎ込まれた本件造成工事等における予定価格などの入札情報提供を繰り返したとの事実が摘示された旨主張する。

 

  これに対し,被告毎日放送は,そもそも原告を報道対象としてはいないし,本件放送は,ある自治体において,その住民が談合の疑惑があると主張して住民監査請求を行ったという報道である旨主張する。

 

   b そこで検討するに,本件放送は,冒頭で「談合疑惑で住民監査請求」との字幕を出した上で(別表),被告Y1ら住民グループが,原告のファミリー企業が談合を繰り返し行った疑惑があると主張して住民監査請求を行うに至ったことを,被告Y1らの視点から,同被告らへのインタビューや本件造成工事現場の映像を交え,ドキュメント形式でまとめたものである(別表ないし参照)。

 

  そして,本件放送について,前記アで説示した各要素を総合的に考慮して判断すれば,旧南淡町において談合の事実があり,原告がこれに関与したと断定した上で,同事実を摘示したものとまでいうことはできないが,単にある自治体の住民が談合の疑惑があるとして住民監査請求を行ったというだけではなく,約2億8000万円の税金がつぎ込まれた本件造成工事等において原告の関与する談合の疑惑があり,被告Y1らが同疑惑の存在を主張して住民監査請求を行ったとの事実を摘示したものということができる。

 

  この点に関し,本件放送は,その字幕やナレーション等を通常の意味に従って理解すれば,原告のファミリー企業に談合の疑惑があることを述べたものといえ,原告が談合に関与したとの事実を明示的に摘示したものではない。しかし,本件放送が,原告の実名を出した上で,談合疑惑の主体を「原告のファミリー企業」ないし「ファミリー企業」であると繰り返し述べていること(別表),放送の最後に,原告が談合への関与を否定していると述べて締め括っていること(別表)に照らせば,本件放送は,黙示的にではあるものの,原告が談合疑惑に関与しており,その関与の形態としては,原告が旧南淡町の町長という立場にあったことからして,入札情報の提供の疑いとみるのが自然であるから,これらの事実を摘示したものというべきである。

 

  なお,原告は,ファミリー企業という表現から受ける印象は「情実・不正・利権」である旨主張するが,独自の見解というほかなく,一般的に,ファミリー企業という表現それ自体は必ずしも原告主張のような消極的評価をもたらすものではないというべきであるから,同表現から,原告が談合に関与したとの事実を導き出すことはできない。

 

   c 以上によれば,被告毎日放送が本件放送で摘示した事実は,旧南淡町で公共工事の受注に関する談合が行われ,同談合に原告が関与していたとの疑惑が存在すること,及び,被告Y1らが同疑惑の存在を主張して住民監査請求を行ったことであるというべきである。

 

  (イ) 原告による旧南淡町住民に対する圧力について

 

  原告は,本件放送によって,原告がその人的・資金的関係が深い企業と共謀して,批判的な言動をする住民に対して不当な圧力を加えていたとの事実が摘示された旨主張する。

 

  しかしながら,本件放送は,「相手はこの地区最大の勢力」(別表),「相手は公共工事の8割を落札する企業グループ」(別表)などと原告のファミリー企業を評した上で,被告Y2が「ただそれを声にして今まで言うことができなかったというのは事実です。」(別表)と,旧南淡町の住民が「人間関係とかあるし,そういうのも考えますよ。」(別表)とそれぞれ発言し,旧南淡町における談合疑惑に対する批判が困難であったことを取り上げる構成をとっており,これを一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準に見ると,旧南淡町の住民は,地元有力企業である原告のファミリー企業の存在とその影響力を慮って,自らの判断で上記批判を控えていたと受け取れるのであり,原告がファミリー企業と共謀して,談合に批判的な住民に対する圧力を加えていたという事実を摘示したと見ることはできないというべきである。

 

  したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。

 

  (ウ) 小括

 

  以上によれば,本件放送で摘示されたのは,原告のファミリー企業が旧南淡町の公共工事の受注に関して継続的に談合を行っており,原告が入札情報を提供するなどしてこれに関与していた可能性があるという疑惑の存在,及び,同疑惑に基づいて住民監査請求が行われたとの事実であると認めることができる。

 

    ウ これに対し,原告は,伝聞や風評という形式でなされた報道であっても,摘示された事実は,伝聞や風評の存在ではなく伝聞や風評の内容そのものであるから,本件放送で摘示された事実は,談合の疑惑の存在ではなく,談合の事実そのものである旨主張する。

 

  しかしながら,本件放送は,前記イで説示したとおり,旧南淡町において談合があったとの事実を摘示したものではなく,談合の疑惑の存在及び旧南淡町の住民が同疑惑に基づいて住民監査請求を行ったとの事実を摘示したものであって,風評や伝聞という形式をとりつつそれを事実として報道した場合と同視することはできず,原告の引用する判例(最高裁昭和48年1月18日第一小法廷判決・刑集22巻1号7頁)は,事案を異にしており,採用できない。

 

  したがって,原告の上記主張は採用できない。

 

    エ 以上のとおり,本件放送全体の印象としては,被告Y1らが,旧南淡町の公共工事に関して,原告のファミリー企業に談合の疑惑があり,原告がこれに関与した旨主張して,住民監査請求を行ったとの事実にとどまらず,原告には上記のような疑惑があるとの事実も摘示されているというべきである。

 

  そして,町の公益の代表者たる町長が公共工事の談合に関与することは違法行為であるから,原告にそのような疑惑が存在することを摘示した本件放送は,原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものというべきである。

 

  よって,本件放送は,被告毎日放送の原告に対する名誉毀損行為に該当する。

 

    オ さらに,原告は,被告Y1らも,その意図に沿った内容のテレビ放送が行われることを目論み,被告毎日放送に情報提供を行い,自らの言動を収録させるなど,本件放送に主体的・能動的に関与したものであるから,本件放送による名誉毀損について,被告毎日放送と共同不法行為責任を負う旨主張する(ただし,原告は,本件放送内で被告Y1らが行った個々の発言自体が名誉毀損行為に該当する旨主張するものではない。)。

 

  ところで,共同行為者各自の行為が客観的に関連し共同して違法に損害を加えた場合において,各自の行為がそれぞれ独立に不法行為の要件を備えるときは,各自が上記違法な各加害行為と相当因果関係にある損害について責任を負う(最高裁昭和43年4月23日第三小法廷判決・民集22巻4号964頁参照)。

 

  これを本件放送について見ると,本件放送が全体として原告の名誉を毀損する内容であることは前記説示のとおりであり,証拠(乙10,16,丙2,証人B,被告Y1本人)によれば,被告毎日放送の記者であるBは,平成17年8月26日に小田弁護士から本件各監査請求書の案を入手し,その後,伊藤弁護士から,原告の親族図や全国市民オンブズマン連絡会議作成に係る「入札調書の分析結果についての報告」等の資料の提示を受けた上で,同請求書の内容について説明を受けたこと,被告Y1らは,Bからカメラ取材を行うに適した現場の候補を挙げるよう依頼されたため,本件各監査請求に関連する現場を3か所挙げ,被告毎日放送は,その中からロケ場所(本件造成工事の現場)を決定したこと,被告Y1らは,インタビュー等に答えて疑惑の存在を肯定する発言をしていること(別表参照)が認められる。

 

  しかしながら,一般に,ある主題について,テレビ放送を行うか否か,その内容をどのように構成・編集するかといった方針決定等は,全て放送会社の自主的な裁量,判断,責任において行われるところ,本件において,被告Y1らが,その意図に沿った内容のテレビ放送が行われることを目論み,本件放送を行うことの判断や,上記構成・編集方針の決定等に主体的・能動的に関与したと認めるに足りる証拠はない。そうすると,結局,被告毎日放送は,被告Y1らに対するインタビューの結果等を自己の判断で編集,構成した上で,本件放送を行ったものであるから,被告Y1ら及びその代理人弁護士が,被告毎日放送に情報を提供した上で,取材対象ともなった事実にかんがみても,本件放送について,被告Y1らに独立の不法行為が成立するとまでいうことはできない。

 

  したがって,被告Y1らは,本件放送による名誉毀損については不法行為責任を負わず,この点に関する原告の主張には理由がない。

 

 2  争点(2)(本件各行為の違法性阻却事由の有無)について

 

  事実の摘示による名誉毀損の不法行為については,その行為が公共の利害に関する事実に係り専ら公益を図る目的に出た場合には,摘示された事実が重要な部分について真実であることが証明されたときは,上記行為には違法性がなく,不法行為は成立しないものと解するのが相当である(最高裁昭和41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁参照)。

 

  このような見地から,被告らは,本件記者会見及び本件放送による名誉毀損については違法性がない旨主張するので,以下検討する。

 

    (1)  本件記者会見について

 

    ア 事実の公共性について

 

  前記1(1)イで認定したとおり,本件記者会見は,被告Y1らが,原告の関連企業が,原告を始めとする同町の関係者からの情報提供に基づき旧南淡町の公共工事について談合を行ったことが想起されるとして,本件1監査請求を行った事実,及び,同被告らが,原告が町長をしていた旧南淡町が,原告の関連企業から本件不動産を著しく高額で購入したことが違法な公金の支出に当たるとして,本件2監査請求を行ったとの事実を摘示したものであるところ,これらの事実は,いずれも,公共の利害に関する事実であることは明らかである。

 

    イ 目的の公益性について

 

  (ア) まず,本件各監査請求は,旧南淡町において生じた損害を南あわじ市に返還させることを趣旨とするものであって,それ自体はもっぱら公益を図る目的によるものといえるが,住民監査請求に関連して行う記者会見については,これを住民監査請求手続そのものと同視することはできないから,本件記者会見の目的については,別途の検討を要する。

 

  しかるところ,前述したとおり,本件記者会見の内容は,本件各監査請求書の記載内容とその解説であるところ,直接民主制による住民自治の保障を目指し,住民が監査委員の監査を通じて地方公共団体の適正な財政運営を確保することを目的とする住民監査請求の制度趣旨に照らせば,本件記者会見は,本件各監査請求を行った事実を記者会見で発表し,住民にこれを知らしめることを目的としたものと認めるのが相当である。

 

  (イ) これに対し,原告は,被告Y1らが,南あわじ市や同市に合併前の他の自治体ではなく,あえて旧南淡町を住民監査の対象としたこと,本件2監査請求を監査請求期間経過後に行ったこと,本件記者会見においてあえて原告の実名を公開したこと,本件各監査請求が却下された後,結局住民訴訟を提起しなかったこと,南あわじ市の顧問弁護士が,本件各監査請求に関わり,マスコミに対する情報を提供したこと,被告Y2の関連企業が政治倫理条約違反に問われたことなどを根拠に,被告Y1らの目的は,ひとえに原告の社会的評価を低下させることにあった旨主張する。

 

  しかしながら,前記1(2)の事実のとおり,本件各監査請求は,被告Y1らの他,合計222名ないし223名の旧南淡町住民の賛同を得て行われたものである上,本件記者会見で摘示された事実が,上記のとおり,概ね本件各監査請求書の記載内容とその解説にとどまるものであることからすれば,被告Y1らの主眼が,原告の社会的評価の低下にあったとは認め難い。

 

  そもそも,住民訴訟を提起するか否かは個人の全くの自由であって,住民監査請求却下の結果を受けて,住民訴訟までは提起しないとの判断は十分あり得るところであるし,住民監査請求自体,相当程度の事前準備が必要である上,住民監査請求ができるだけの資料を揃えてから住民監査請求をするのが通常であることに照らせば,旧南淡町のみが同請求の対象となったこと自体は,必ずしも請求人の不当な意図を推認させるものではない。また,請求期間経過後の住民監査請求も一定の要件の下で許容されていることからすれば(地方自治法242条2項但書参照),請求期間経過後の住民監査請求であることから当然に請求人の不当な意図を推認することもできない。

 

  その他,原告の主張するところを検討しても,原告の社会的評価を低下させることが目的であったことを推認させる事情があるとは認められない。

 

  (ウ) したがって,本件記者会見は,もっぱら公益を図る目的でされたものと認められる。

 

    ウ 事実の真実性について

 

  前記1(1)イで認定したとおり,本件記者会見は,被告Y1らが,原告の関連企業が,原告を始めとする同町の関係者からの情報提供に基づき旧南淡町の公共工事について談合を行ったことが想起されるとして,本件1監査請求を行った事実,及び,同被告らが,原告が町長をしていた旧南淡町が,原告の関連企業から本件不動産を著しく高額で購入したことが違法な公金の支出に当たるとして,本件2監査請求を行ったとの事実を摘示したものであるところ,前記第2の1(2)アの事実に照らせば,これらの事実はいずれも真実であると認められる。

 

    エ 小括

 

  以上のとおりであるから,本件記者会見による名誉毀損については,違法性がなく,不法行為は成立しない。

 

    (2)  本件放送について

 

    ア 事実の公共性について

 

  前記1(2)イで認定したとおり,本件放送は,原告のファミリー企業が旧南淡町の公共工事の受注に関して継続的に談合を行っており,原告がこれに関与していたという疑惑の存在,及び,同疑惑に基づいて住民監査請求が行われたとの事実を摘示したものであるところ,これらの事実は,いずれも,公共の利害に関する事実であることは明らかである。

 

    イ 目的の公益性について

 

  前記1(2)オで認定した事実に加え,証拠(丙1,2,証人B,原告本人,被告Y1本人)及び弁論の全趣旨によれば,Bないし被告毎日放送は,本件各監査請求書案の入手及び同請求書に関する伊藤弁護士からの説明,被告Y1らを始めとする旧南淡町の住民に対する取材並びに原告に対する30分ないし1時間ほどの取材等を行い,それらの取材結果などを検討した上で,本件放送を行ったと認められる。

 

  そうすると,被告毎日放送は,同監査請求の事実が公共の利害に関する事実であり,それに関する疑惑を取り上げて放送することは公益に適い,ニュースバリューがあると判断して本件放送を行ったことが推認されるから,同放送の目的は,専ら公益を図ることにあったものと認められる。

 

    ウ 事実の真実性について

 

  (ア) 前記1(2)イで認定したとおり,本件放送は,原告のファミリー企業が旧南淡町の公共工事の受注に関して継続的に談合を行っており,原告がこれに関与していたという疑惑の存在,及び,同疑惑に基づいて住民監査請求が行われたとの事実を摘示したものである。

 

  そして,名誉毀損の違法性が阻却されるためには,原告のファミリー企業が旧南淡町の公共工事の受注に関して継続的に談合を行っており,原告がこれに関与していたという疑惑について,同疑惑の前提となっている事実が真実であり,それから合理的な理由をもって疑惑が導かれることを証明する必要があると解するのが相当である。

 

  (イ) そこで検討するに,原告のファミリー企業という表現は,原告又は原告の親族が,現在ないし近接した時期に役員や主たる株主であった会社など,原告と非常に緊密な関係にある会社であるとの印象を一般視聴者に与えるものであるということができるが,証拠(甲37ないし43,原告本人)によれば,本件1監査請求書に原告の関連企業として記載されている7社のうち,上記観点からのファミリー企業に該当するのは,過去に原告が役員を務めたことがあり,現在も原告の親族が代表取締役を務めるa社及びb社の2社であると認められる。

 

  そして,証拠(甲10の5,乙1)によれば,平成13年度から平成16年度までの旧南淡町の公共工事を,a社は平均約98パーセント,b社は平均約97パーセントと,非常に高い落札率で競落していること,a社は,上記4年度における公共工事全体の約44パーセントを落札していること,平成16年度のみを見ると,a社とb社が,公共工事の約45パーセントを落札していることが認められる。

 

  この点,日本弁護士連合会消費者問題対策委員会の入札制度改革に関する調査報告書(乙9)において,落札率は,談合しているかどうかを判断するための主たる基準になることや入札制度改革を行った長野県や宮城県で落札率が低下していることなどが記載されており,日本弁護士連合会の「入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告」(乙8)においても,日本の入札の落札率の平均が95パーセントであるということや刑事記録の内容から,日本の入札は談合が蔓延していると極めて高い確率で推定できるとし,入札制度改革を行った自治体においては,落札率が低下していることを指摘していることなどに照らせば,落札率の高さは,談合の事実そのものを証明するものではないものの,談合の可能性を疑わせる事情の一つであるとはいえる。

 

  しかしながら,他方で,公共工事に関する競争入札にあっては,工事の種類や性質,予定価格や入札価格の積算方法等によって,談合が行われなくとも落札率が高くなることはあり得ることであり,現に,予定価格と落札価格が一致した競争契約案件に関する国土交通省及び厚生労働省の各調査結果(甲5,6)によれば,予定価格と落札価格が一致した要因として,当該工事における積算基準の公表や,予定価格にかなり近似した額の見積が可能な積算ソフトの存在,端数処理の結果による落札価格と予定価格との偶然の一致等,談合以外にも多くの事項が挙げられていること,本件においても,証拠(甲22,23,原告本人)によれば,旧南淡町では,平成15年4月から,入札に関する透明性を確保するため,1000万円以上の公共事業の約3分の1の予定価格の事前公表を1年間を試行期間として実施し,その後も平成17年1月の合併に至るまで実施していたことが認められる。

 

  以上の点に加え,証拠(甲10の5,37)及び弁論の全趣旨によれば,a社は旧南淡町では有数の規模の企業であることが認められることからすれば,入札件数に対する落札件数の割合が相対的に高くなっても必ずしも不自然であるとはいえないこと,また,証拠(甲21,23,24,原告本人)によれば,原告の旧南淡町町長就任以降,同町の公共工事に関する決裁権は助役の専決事項とされ,入札当日の朝,助役が入札予定価格を決定し,書類を封印していたことが認められることをも考慮すれば,a社及びb社による落札率及び落札件数の割合が上記のとおりであることをもってしても,いまだ談合の存在や同談合に対する原告の関与を推認するには足りないし,それらの疑惑について合理的な理由があるとは認め難い。

 

  なお,被告Y1らは,談合の存在を疑わせる事情として,本件1監査請求書において,原告の各関連企業間の入札価格がそれぞれ相互に近接しているという特色があること,自由競争による入札が行われていたなら,上記各関連企業による落札価格は,予定価格の86.9パーセント前後になるはずであったことなども主張するが,これらを認めるに足りる証拠はないし,原告のファミリー企業に該当するのは,a社及びb社の2社であることは,前述したとおりである。

 

  さらに,本件放送は,本件造成工事の現場を撮影場所として使用した上で,同工事における公共入札の落札率が100パーセントであったこと,談合がなければ落札率が100パーセントになることはあり得ないこと,同工事のために約2億8000万円の税金が使用されたことを放送することによって,視聴者に対し,談合の疑惑が合理的なものであり,同談合によって旧南淡町が被った被害が甚大なものであったかのような印象を与える構成をとっており,談合疑惑の重要な根拠事実となっているものである。

 

  しかし,証拠(甲21,23,乙3別紙5,原告本人)によれば,上記工事は入札ではなく随意契約によってa社が受注したものであること,同工事に当たって現実に税金で賄われた費用は約7920万であることが認められるから,本件放送において,談合疑惑の根拠として挙げられる主要な部分は,いずれも真実ではないというべきである。

 

  以上によれば,原告の町長在任期間中である平成13年度から平成16年度における旧南淡町の公共工事について,談合が存在し,かつ,同談合に原告が関与したとの疑惑は,未だ合理的な根拠をもって導き出されたものとはいえず,さらに,本件放送において,同疑惑を基礎付ける事実として報道された事実は,重要な部分で真実ではなかったと認められる。

 

    エ 小括

 

  よって,本件放送について,違法性がないものということはできない。

 

 3  争点(3)(被告らの有責性の有無)について

 

    (1)  前記2(2)で説示したとおり,本件放送の摘示事実に真実性は認められないところ,真実であることの証明がなされなくても,その行為者がその重要な部分につき真実であると信じたことに相当の理由があるときには,その故意又は過失が否定され,不法行為は成立しないものと解するのが相当である(前掲最高裁昭和41年6月23日第一小法廷判決参照)。

 

  この点,被告毎日放送は,被告Y1らの代理人弁護士から,本件各監査請求書の案及びその関連資料の提示とともに詳細な説明を受けた上で,被告Y1らや旧南淡町の住民に対する取材を行ったのであるから,同事実が真実であったと信じるにつき相当の理由がある旨主張する。

 

    (2)  しかしながら,本件1監査請求書は,被告Y1ら旧南淡町の住民が,原告を始めとする旧南淡町の関係者が談合に関与した可能性があると主張して監査請求をするという内容のものであり,その代理人である弁護士の説明も,本件各監査請求における住民側の主張に基づくものであることは明らかである(被告Y1ら及び同被告らを支持する旧南淡町の住民に対する取材も同様である。)。

 

  この点,確かに,前記2(2)ウで認定,説示したとおり,落札率の高さは,談合の可能性を疑わせる事情の一つではあるものの,これは談合以外の要因によってもあり得ること,本件1監査請求書に原告の関連企業として記載された企業のうち,原告のファミリー企業と評価しうるのはa社とb社の二社のみであること,本件造成工事は随意契約によってa社が請け負ったものであること,さらには原告の旧南淡町町長就任以降,同町の公共工事に関する決裁権は助役の専決事項とされたこと等談合の存在及び原告が談合に関与したことを否定する方向に働く事情も認められたのである。

 

  そして,前記1(2)イで認定したとおり,本件放送は,原告が談合に関与した疑惑があると報じたものであるから,このように,原告を談合疑惑の当事者とする趣旨の報道を行う以上,被告毎日放送は,弁護士の説明等を鵜呑みにするのではなく,談合の存在及び原告が談合に関与した可能性について,さらに慎重に調査,裏付けを行い,疑惑の存在の信憑性等について十分な吟味をする必要があったというべきであり,そのような調査を行っていれば,上記の談合の存在等を否定する方向に働く事情を明らかにすることができたというべきである。

 

  そうであるにもかかわらず,証拠(丙2,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,被告毎日放送は,旧南淡町における談合疑惑及びそれに対する原告の関与の可能性について,上記弁護士から受けた説明の他,被告Y1ら,同被告らを支持する旧南淡町の住民若干名及び原告に対する取材(聴取)以外には独自の裏付け取材を行わなかったと認められる。なお,被告毎日放送は,原告に対する取材を行った上で,本件放送の最後に,アナウンサーが「前町長は,公共工事の入札には自分は全くノータッチで,適切に行われていると,談合疑惑を否定しています。」として原告の言い分を紹介している(別表)けれども,証拠(証人B,原告本人)によれば,原告に対する取材は,被告毎日放送の記者が,現場での取材等を終えて予告なく原告の自宅を訪れ,たまたま在宅していた原告に対し,本件各監査請求の資料を示すこともなく,また,談合を疑わせる事実と考えている点について詳しく尋ねて事実関係を確認することもなく,本件不動産の先行取得や旧南淡町の体育館に関する点など,本件放送とは必ずしも関係しない取材を含めて30分ないし1時間程度行ったものと認められ,上記疑惑の裏付け取材としては,極めて不十分なものというべきである。

 

  以上によれば,被告毎日放送は,本件各監査請求について,一方当事者にすぎない被告Y1らの代理人弁護士の説明等を全面的に信用し,旧南淡町における談合及び同談合への原告の関与の疑惑について,上記弁護士から与えられた資料を精査,検討したり,さらには最低限の裏付け取材を行うこともないまま,本件放送を敢行したものといわざるを得ず,同疑惑の存在ないし同疑惑を推論することの合理性を窺わせる事実について,それを信じるについて相当といえる程度の裏付けを得ていたものとは認められない。

 

    (3)  したがって,本件放送による名誉毀損について,被告毎日放送に責任がないということはできない。

 4  争点(4)(原告の損害の有無及び損害額並びに謝罪広告・謝罪放送の要否)について

 

  前記1ないし3で認定,説示したところによれば,被告毎日放送は,原告に対し,民法709条に基づき,本件放送によって名誉を毀損されたことによって被った原告の損害を賠償すべき義務がある。

 

  そこで,同名誉毀損による原告の損害について検討するに,これまで認定してきた事実関係並びに証拠(甲23,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,旧南淡町において,平成11年5月から平成17年1月まで町長を務め,同町を中心とする周辺地域において相当な知名度があるところ,本件放送は,報道番組内の特集として関西地方で放送され,原告の実名を出した上で,原告が談合に関与した疑惑があることを大きく採り上げており,それにより,本件放送の後,心配した知人ないし支援者が原告方に駆けつけた他,原告の妻は婦人会の世話役を辞退したり,原告の母親は外出を控えるようになるなど原告本人はもとよりその家族にも影響が出ていることが認められ,その損害は小さくないといえること,他方,前記2(2)で認定,説示したとおり,本件放送は,公共の利害に関する事実について公益目的でなされたものであり,取材に不十分な点はあったものの悪意をもって放送したものとまでは認められないこと等諸般の事情を総合考慮すれば,原告の慰謝料としては100万円をもって相当と認める。

 

  そして,上記諸事情を総合考慮すれば,原告に対する名誉回復の措置としては,上記慰謝料の支払で足り,それ以外にさらに謝罪広告及び謝罪放送を命じる必要性があるとは認められない。

 

 

 5  結論

 

  以上によれば,原告の被告毎日放送に対する請求は,主文1項記載の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求及び被告Y1らに対する請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

 

  (裁判長裁判官 角隆博 裁判官 村中玲子 裁判官 西谷大吾)

 

 

 

  〈以下省略〉

 

 

 

 

 

*******

 

 

 

 

川越市長・川合善明氏による名誉毀損損害賠償請求訴訟

525日 さいたま地方裁判所川越支部

第2回口頭弁論の報告

 

 20161014日、川越市長・川合善明市長をさいたま地方検察庁に刑事告発の上、本件の記者会見を行った私たち「コレクト行政!連絡協議会」(代表・土屋トカチ 外4名)によって名誉を毀損されたとして、川合善明氏が私たち5人のうち4人を被告とする名誉毀損損害賠償請求訴訟を、さいたま地方裁判所川越支部に提訴しました。

 告発記者会見で、テレビ埼玉の映像ニュースの取材で氏名表記のインタビューに応じた川越市民代表で告発人のひとりでもある戸松廣治氏だけは、なぜだか訴えられることはなく、同じく川越市民代表で告発人のO氏は被告とされています。

 

今回は、同公判の第2回口頭弁論の模様と、同日午後1時からさいたま県政記者クラブで行った私たちの記者会見について報告致します。

 

本件裁判(平成29年(ワ)第29号 損害賠償請求事件)の第2回口頭弁論は2017525日・午前1030分から、さいたま地裁川越支部1号法廷で野口忠彦裁判長の指揮のもと、都築玲子裁判官、黒木裕貴裁判官による合議裁判として開廷されました。

出廷は、原告(川合善明川越市長)側が原告代理人・佐久間豊弁護士、復代理人・坂本慎二弁護士、被告側が被告本人の土屋トカチ、高橋玄、被告代理人・清水勉弁護士、出口かおり弁護士。一般傍聴人として、告発人のひとりでもある「コレクト行政!川越市民」代表・戸松廣治氏や川越市議・小林薫氏ほか、本件事件の関係者を中心に十数名が裁判を見守りました。

原告当事者である川合善明氏は、10時過ぎに裁判所玄関ロビーに姿を見せましたが、弁護士との打ち合わせだけだったのか開廷前に退出しています。

 

さて、口頭弁論は野口裁判長が原告に対して訴状の不備を指摘するという異例の幕開けとなりました。

詳しくは、本稿末尾に開示する被告代理人・清水弁護士作成の準備書面に述べていますが、裁判長は「原告は被告の言動の何をもって名誉毀損だと主張しているのかの争点を整理し明確にしなければ、被告も答弁のしようがない」と原告に注意したのです。

 それどころか、野口裁判長は「被告の告発状は三段論法で理論的に事実を摘示している」と、法律家でもない素人の私たちの告発状を評価してくれたうえで、原告に対しては「原告は、摘み食い的に一部を引き出して主張するのではなく、告発状の三段論法を踏まえて、どこが名誉毀損になるのかを具体的に構成する書面を出して下さい」と述べたのです。簡単にいえば原告・川合善明氏は、裁判長に「これでは訴えになっていない」と一蹴されたも同然です。当方・清水弁護士いわく「裁判所がここまではっきり原告を批判し、被告の告発状の出来がいいと褒めるのは非常に珍しい」とのことです。

 

 ここで裁判に馴染みのない方々に説明しますと、裁判所への民事事件の提訴というものは、所定の形式的要件を満たしてさえいれば受理されます。訴状が「審理するに足る内容になっているかどうか」は、担当裁判官が決まってから、その裁判官が判断することになります。だから、おかしな内容の訴状も受け付けられるわけです。

 原告・川合市長は自身も弁護士です。法廷には原告代理人の立派な弁護士も2名出廷しています。一方の私たちは司法試験を100回受験しても合格するはずもない、おバカな映画人と一般市民です。

ところが、提訴の原因となった私たちの告発状が「理論的である」と裁判長に褒められて、ベテラン法律家が3名も集まった原告の弁論が「理論的に書き直せ」と言われたわけですから、これには私たちも驚きました。

 しかも、野口裁判長は原告に対して「前回も言いましたが」と前置きして原告に主張の書き直しを要求していました。「前回」というのは第1回口頭弁論のことです。私たちは、清水弁護士を始めスケジュールが合わなかったことから前回法廷には出廷していなかったのです。答弁書の事前提出をもって答弁するという「擬制」陳述をしていただけだったので、第1回口頭弁論の様子は知らなかったのです。

 それが、今回、野口裁判長が「前にも言いましたが」と指摘したことで、原告・川合市長は第1回口頭弁論の時点から「これでは裁判にならない」と裁判所に言われていたことが私たち被告側にわかったのです。

 川合善明氏は川越市長であり、折に触れ自身が口にするように東京弁護士会所属の弁護士でもあります。普通なら、間違っても裁判所に「これでは裁判にならないから書き直せ」と言われたなら、せめて2回目には綿密に法律構成を立て直して主張するはずですが、なんと前と同じことを、多くの傍聴人の公衆の面前で指摘されてしまったのですから、これほど恥ずかしい事態もないのではないでしょうか?

 川越市下の川合氏後援会の市民の方々は、このような法廷での事実を傍聴で知るべきではないでしょうか。

 本件は名誉毀損損害賠償請求裁判であり、私たちが告発した官製談合等の認否を争うものではありません。しかし、選挙中の川合善明市長が「誹謗中傷」と片づけようとしていた私たちの告発を、裁判所が「理論的な告発内容」と評価した事実は極めて大きな意味を持つのではないでしょうか?

 

私たちの刑事告発の記者会見を名誉毀損だと川合市長が考えたのであれば、川合市長は、告発直後からウェブサイトで告発状を公表している私たちや、私たちの記者会見をネット上に映像配信したテレビ埼玉に抗議し、これら掲載や配信の中止を求めたはずです。

ところが、川合市長からの抗議は全くありませんでした。それが、川越市長選挙告示日である本年1月15日の2日後である1月17日、突然、刑事告発をした5人のうち4人を「名誉毀損」で訴えて来ました。3ヶ月の沈黙後の突然の提訴は、一体、何のためなのでしょうか。

 長い間の沈黙の後、市長選公示日の2日という時期の提訴であることからして、本件訴訟の提起は川合市長の選挙対策のパフォーマンスだったのではないかと私たちは考えています。もしもそうであれば、ベテラン弁護士が、裁判所から2度にも渡って弁論書面の書き直しを命じられる事態も理解できます。まともに裁判をやる気がなければ準備もいい加減になるでしょうから。

 

 今回の法廷の最後に野口裁判長が「いつまでに(準備書面を)提出できますか?」と尋ねたところ、原告代理人・佐久間弁護士は「ひと月半ほど頂ければ」と回答。裁判長もこれを認めて、次回期日は727日午後430分となりました。

 私たちは、次回に原告から提出される準備書面に対して詳細な反論を展開する予定ですが、今回第2回口頭弁論準備書面を、読者諸氏の皆様の参考資料として開示致します。

 

 その後、場所を埼玉県庁・県政記者クラブに移して記者会見を行い、清水弁護士が法廷の模様を報告、解説しました。

 記者からは、昨年10月の私たちの刑事告発についての続報を期待する声もありましたが、これにつきましては当ウェブサイトにも記載の通り、検察の捜査の着手の有無や進捗などの情報は開示しないようにと捜査機関から要請されているため、現時点では、口外することはできません。ただし、記者の「最後に検察と話したのはいつですか?」との質問に対しては、私たちは「現在でも連絡は頻繁に往来しており、私(コレクト行政・高橋)自身も検察庁に伺っている」旨をお答えしました。

 記者会見では、清水弁護士作成のレジュメも配布されましたので、同書面も参考資料として以下に公開させて頂きます。

 

 私たちは引き続き、冷静かつ着実に川合善明市長に対する疑惑の追及を進めて参ります。

 

 なお、マスコミによる本件裁判についてのお問い合わせは、清水勉弁護士・出口かおり弁護士(さくら通り法律事務所TEL03(5363)9421 FAX 03(5363)9856)までお願い致します。

 

 


 

2017年5月25日 対川合善明氏訴訟準備書面

 

平成29年(ワ)第29号 損害賠償請求事件

原 告 川合善明

被 告 土屋トカチ 外3名

 

準備書面(1)

 

平成29年5月23日

 

さいたま地方裁判所川越支部民事部合議係 御中

 

被告ら訴訟代理人弁護士  清  水   勉 

同  弁護士  出 口 か り 

 

第1 原告主張の摘示事実について

1 原告の摘示事実の構成は誤りである

 本件で名誉毀損の成否の判断対象となる摘示事実について、原告は、訴状添付の「名誉毀損部分一覧表」記載の被告らの告訴状やウェブサイトの記述を離れて、これらを「総合した」摘示事実を主張する。

 一般読者の普通の注意と読み方を基準に摘示事実を判断するとしても、原告主張のように、名誉毀損部分一覧を総合した摘示事実の構成は採り得ない。

 事実の摘示かあるいは意見ないし見解の表明かを一般人基準に基づき区別するに際しても、当該文書の体裁や、各記述の字句及び前後の文脈等に即して検討するのであって、各記述を総合して判断した裁判例は存在しない。

 そこで、以下、原告が「名誉毀損部分一覧表」で挙げた各記述について、告発状及びその添付資料に記載されたことを踏まえて、各記述から読み取ることができる事実の摘示ないし意見等について検討する。

 

2 告発状及びその添付資料の記述であること

 告発とは、「被害者やその法定代理人など告訴権者以外の第三者が捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その犯人の処罰を求めること」(広辞苑第6版、990頁)であり、処罰を求める宛先は、捜査権限を有する警察ないし検察である。告訴状は、告発の内容を記した書面であって、警察署ないし検察庁に提出するものである。

 したがって、告発者は、告発状に被告発人の犯罪事実を具体的に記載したうえで、警察ないし検察に対して捜査を求めることになる。

本件で、被告らは、原告について、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の構成を害すべき行為の処罰に関する法律(以下、「入札談合等関与行為防止法」という。)第2条第5項2号ないし4号及び第8条に違反する行為があったと考えたからこそ、そのように考えた根拠を具体的に告発状に記載し、資料を添付して、さいたま地方検察庁に対して捜査を求めた。この告発行為自体は正当な行為であって、これについて不法行為は成立しない。

被告らは、告発状冒頭の「第1 告発の趣旨」において、「被告発人の下記所為は、・・・第2条第5項2号ないし4号及び第8条に該当すると思料される」と記述し、末尾においても「告発人らは、御庁に対して、本件を厳正に捜査されることを求め」と記述したように、告発状及び添付資料は、全体として、被告らが告発人として、原告について特定の犯罪行為の疑いがあるとの見解を表明したものであって、原告がこれらの犯罪行為を行ったという確定的な事実を摘示したものではない。

告発状には、被告発人たる原告について特定の犯罪行為の疑いがあることを具体的に記載する必要があるため、被告らにおいて、できるだけ具体的事実を挙げて、原告について疑いがあることを説明したが、これらの記述が断定的であることをもって名誉毀損にあたるという原告の主張は、告発状及び添付資料の記述であることを考慮しないものであり、告発状及びその添付資料であることを踏まえて記述を読む一般人の読み方にそぐわないものである。

 

3 名誉毀損部分一覧の検討

(1)番号1

 番号1の記述から読み取ることができるのは、被告らが、原告を被告発人として、原告が、告発事実記載の①ないし⑧の入札に関して、入札談合等関与行為防止法第2条第5項2号ないし4号及び第8条に該当する行為を行ったと思料することを理由に告発をした事実である。

(2)番号2

 番号2の記述からは、被告らが、川越市の行政関係者から、原告の行為が官製談合に該当するとの内部告発を端緒として本件告発をした事実を読み取ることができる。

(3)番号3

 番号3の記述からは、株式会社カナイ消防機材(以下、「カナイ消防機材」という。)の会長の金井眞一郎氏(以下、「金井氏」という。)が、原告の高階地区の後援会会長を務めている事実、及び、これについて、被告らが、金井氏と原告とは密接な関係があるとの見解を表明していることを読み取ることができる。

(4)番号4

 番号4の記述からは、被告らが、上記事実に基づき、原告と金井氏とが密接な関係があるとの見解を前提に、カナイ消防機材の本店設置が都市計画法に違反することを原告が黙認した事実、告発事実記載の①ないし⑧の入札に関して、原告が、入札談合等関与行為防止法第2条第5項2号ないし4号に違反して、カナイ消防機材に対して便宜を図っていたと推測できるとの見解を表明し、その根拠として、①ないし⑧の入札について延べ38回連続落札という事実を摘示して、これは異常な落札結果であるとの見解を表明したものと読み取ることができる。

(5)番号5

 番号5の記述は、カナイ消防機材の落札率は異常であり、このような事態は、原告と金井氏の癒着を背景とすることが明らかであり、官製談合として捜査すべきという被告らの見解を表明していると読み取ることができる。

(6)番号6

 番号6の記述は、食料品の入れ替えに伴う入札を、平成23年から28年までカナイ消防機材が11回に亘り落札した事実を摘示して、これについて、官と業者との密接な関係を示す悪質な官製談合であるとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(7)番号7

 番号7の記述は、入札談合等関与行為防止法第2条第5項4号に該当する疑いが極めて強いとの被告らの見解の表明と読み取ることができる。

(8)番号8

 番号8の記述は、告発事実記載の②の入札について、カナイ消防機材が6年連続で落札している事実を摘示したうえで、このことについて、常識では考えられない異常な落札状況であり、特定業者と市との緊密な関係がなければ成立し得ない官製談合である旨の被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(9)番号9

 番号9の記述は、「市側の配慮」の原因は、金井氏が原告の高階地区後援会長であることに基づくとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(10)番号10

 番号10の記述は、税金を一業者に独占的、集中的に提供することが許されるべきでないとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(11)番号11

 番号11の第1文は、カナイ消防機材の会長の金井氏が原告の高階地区後援会会長にあるとの事実を摘示したものと読み取ることができる。

 同第2文以下は、カナイ消防機材が、告発事実記載の①ないし⑧の入札について、予定価格や最低制限価格を得て、他の業者よりも有利に落札価格を設定している疑いがあるとの被告らの疑念(見解)を表明したものと読み取ることができる。

(12)番号12

 番号12は、一般競争入札に変更された年度以降にカナイ消防機材以外の業者が入札に参加しなくなった要因について被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(13)番号13

 番号13の記述は、原告の後援会長が経営する業者が、他部門での落札も含めて6年連続11回落札した事実を摘示して、この落札率が異常であり、入札の必要性自体を疑うべきとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(14)番号14

 番号14の記述は、第1文で、入札方式の変更により最も有利になるのはカナイ消防機材であると分析し、第2文及び第3文で、参加資格の変更を進言したのは、原告の後援会会長である金井氏である疑いが強いとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

さらに、第4文で、入札参加資格の変更が実質においてカナイ消防機材の独占的な入札資格を担保する措置であった疑いがあるとの見解を表明し、第5文で告発事実⑧の入札について、原告と金井氏との意思の疎通が疑われる旨の見解を表明したものと読み取ることができる。

(15)番号15

 番号15の記述は、川越市では、職員らは原告とカナイ消防機材との関係を良く知りながら、原告が川越市のトップたる市長であることから原告の判断に従うしかなく、利害関係のない検察でないと本件に切り込めないとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(16)番号16

 番号16の記述は、金井氏が原告の高階地区後援会会長の立場にあるとの事実を摘示したうえで、現職市長とその後援会会長という関係が有形無形に利害を合一すること及び相互の利益防衛の観点から相互に幇助することが合理的であるとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(17)番号17

 番号17の記述は、カナイ消防機材の都市計画法違反を川越市が黙認していることについて、金井氏が、市長室に予約なしで入ることができると知人に吹聴していたとの事実を摘示し、原告との緊密な関係があるとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(18)番号18

 番号18の記述は、2016年10月14日付で、原告をさいたま地方検察庁に刑事告発した事実を摘示したものと読み取ることができる。

(19)番号19

番号19の記述は、被告らが、川越市の行政において、入札談合等関与行為防止法違反ならびに都市計画法違反が疑われたことから、2016年10月14日付でさいたま地方検察庁に刑事告発したとの事実を摘示したものと読み取ることができる。

(20)番号20

  番号20の記述は、刑事告発の内容を被告らが一言で説明したものであり、その他に何らかの事実の摘示又は見解の表明を読み取ることはできない。

 (21)番号21

  番号21の記述は、被告らが告発した内容については、入札結果を記載した公文書や複数の川越市行政関係者の内部告発及び証言により明白であるとの被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

(22)番号22

番号22の記述は、地方自治体における現政権首長が黙認する官製談合についての被告らの見解を表明したものと読み取ることができる。

 

第2 求釈明

 訴状添付の「名誉毀損部分一覧表」に挙げられた各記述から読み取ることのできる事実の摘示及び見解の表明は以上のとおりである。各記述を「総合して」摘示事実を導く手法ではなく、原告において、本件訴訟で問題とする記述及び当該記述から読み取ることのできる事実の摘示ないし見解等について改めて特定されたい。

 

以上

 


 

2017年5月25日 記者会見用レジュメ

 

川越市長VS市民:名誉毀損訴訟レジュメ

刑事告発の内容の「一部」が名誉毀損!?

 

被告ら代理人弁護士 清 水  勉

同   出口 かおり

TEL 03(5363)9421 FAX 03(5363)9856

 

 

1 事実経過

平成28年10月14日、被告ら4名が、刑事訴訟法239条に基づき、さいたま地方検察庁に、川合善明・川越市長を入札談合防止法違反で告発。

同日、記者会見 ⇒ テレビ埼玉がネットで報道

同日、被告らは、ホームページで告発状を掲載した。

 

川合市長から、名誉毀損という抗議やホームページの掲載中止の要求なし

 

平成29年

1月15日、任期満了に伴う川越市長選挙の告示

1月17日、川合市長が被告らを名誉毀損損害賠償請求訴訟で、さいたま地方裁判所川越支部に提訴

1月22日、川越市長選挙投票日、川合当選

【得票数】川合:56,597、渋谷 実:16,188、本山修一:11,726

【有効投票数】84,511

【当選者の得票率】約67%

 

2 訴訟の内容

①告発状の内容の「一部」(3①)を記者会見で説明したこと

②ウェブサイトへの告発状の「一部」(3①)を掲載したこと

 

3 告発状の内容

 ① 不正落札

 川合市長の高階地区後援会会長である金井眞一郎が代表を務める㈱カナイ消防機材が競争入札において連続38回も連続で落札しているのは極めて不自然であり、川合市長の関与なしには考えられない談合である。

 ② 都市計画法違反の放置

カナイ消防機材は、平成18年に市街化調整区域に文具店を設けるとして建築許可を得て、同年8月に建物を建て、川合市長が当選した後の平成23年にカナイ消防機材の本社をここに移転した。

建物の前面中央上部に赤地に白抜き文字で「㈱カナイ消防機材」と書いた大きな看板が掲げ、その右隅に青地に白抜き文字で「カナイ文具店」と書いた小さい看板を掲げているが、当該建物で文房具を販売している様子はない。川越市(の開発指導課)ではこの問題を知りながら、行政指導も撤去要求もしないで放置し続けている。これは、川合市長と金井が特別の関係にあるからだ。

※ 当初から文具店を経営しておらず、前市長時代から違法状態が続いている。

 

川合市長は、3②については名誉毀損として問題にしていない。

 

4 被告側の反論

 ① 主張の整理を

 原告の主張は、名誉毀損の事実と、名誉毀損の意見表明を区別していない

 どちらであるかによって、②③の反論の範囲内容が変わってくる

 ② 公共性、公益目的、真実性の証明

 現職市長が談合に関わっているという疑いであり、公共性あり

 現職市長が談合に関わっているのであれば、その事実を指摘し処罰されるべきいう意見表明をすることは公益目的にかなう

 書いた内容が真実であることの証明が必要・・・表明後に収集した証拠も立証に使える

 ③ 真実相当性の証明

 真実性が証明できなくても、真実と信じるにつき相当の理由があると判断されれば、違法性が阻却され、不法行為責任なしとされる。

 

 取材経過による証明


川合善明市長による名誉毀損訴訟の公判が開始されました

 

 重要な発表をいたします。

 昨年10月14日、私たちが川越市長・川合善明氏をさいたま地方検察庁に刑事告発し、この記者会見を行ったことで「名誉を毀損された」として、川合善明市長が私たちを相手取って300万円の損害賠償を求める民事訴訟を提訴しました。

 原告は川合善明氏、被告は「コレクト行政!連絡協議会」の土屋トカチ、高橋玄、市民代表・O氏ならびに告発人にも名を連ねた武田健太郎弁護士の4名です。

 

 公職者(それも首長)が自らの市政に生じた疑義を主権者たる市民側から言及されて、これを「名誉毀損」として損害賠償請求訴訟を提訴するなどは、おそらく前代未聞の出来事でしょう。

 

 しかも、この裁判は本年1月22日の川越市長選挙投開票日のわずか5日前(1月17日)、さいたま地方裁判所(川越支部)に提訴されています。

 また川合市長は、同じく投票日前に、川越市議会で川合市政を追及する小林薫市議や抗議活動を行っていた地方新聞と政治結社に対して刑事告発をしています(警察では事実上の不受理)。

 私たちの言論活動に対しては民事訴訟、市議や地元市民からの追及に対しては刑事告発という方法で対処を試みた川合市長の真意はまったく想像もつかないほど支離滅裂ですが、状況からみれば川合市長は選挙戦におけるパフォーマンスとして訴訟や刑事告発を行ったものと思われます。

 同時に、本件裁判は川合善明川越市長が、自らに不都合な言論活動を封殺しようとする「スラップ訴訟」の一種でもあるといえます。

 

 私たちは、本件裁判を全面的に争い、川合善明市長の疑惑の背景、川越市・川合市政の闇について広く社会に告発し続けて参りたいと思います。

 

 本件裁判は4月13日に第1回口頭弁論を終えておりますが、次回5月25日(木)には被告・土屋トカチ、高橋玄、被告代理人弁護士・清水勉、出口かおり弁護士が出廷しての第2回口頭弁論(午前10時30分 さいたま地裁・川越支部 1号法廷)が開廷されます。

 また同日、午後1時から、埼玉県庁・県政記者クラブで下記の通り、私たちの記者会見を行います。一般市民の方々には裁判の傍聴を、マスコミ各位には傍聴と併せて記者会見へ、ぜひとも御参加頂きたいと思います。

 

 

さいたま県政記者クラブ加盟社 各位

 

「コレクト行政!連絡協議会」代表:土屋トカチ

【問い合わせ先】 

東京都新宿区本塩町12番地 四谷ニューマンション309 さくら通り法律事務所

被告ら代理人弁護士 清水 勉

        同        出口かおり

TEL 03(5363)9421 FAX 03(5363)9856

 

川合善明川越市長提訴の名誉毀損裁判

記者会見のお知らせ

  

昨年1014日、「コレクト行政!連絡協議会」が、さいたま地検に対して川越市長を被告発人とする談合疑惑について刑事告発をした件で、本年117日、川越市長は、刑事告発の記者会見に臨んだ4名を被告とする名誉毀損訴訟を、さいたま地裁川越支部に提起しました。

被告とされた4人は、これを全面的に争うべく反論しています。

来る525日午前1030分より、さいたま地裁川越支部1号法廷で、第2回口頭弁論が行われます。当日は、被告側が原告の訴えに対して全面的に反論を展開する予定ですので、どうぞお出かけください。また、弁論手続終了後、下記のとおり記者会見を開催しますので、どうぞ、ご参加ください。記者会見には、被告(高橋玄、土屋トカチ)、被告代理人弁護士清水勉などが出席する予定です。

 

日時:525日(木)午後1時~

                                                                      場所:埼玉県庁県政記者クラブ

 

 

 今後、私たちは本件裁判の続報を逐次、当ウェブサイトを通じて公開して参ります。

 ネットユーザーの皆様には、分野を問わず本件問題を拡散して下さるようお願い致します。

 

 


声明文-川越市長選挙を振り返り-

 

2017年1月22日、川越市長選挙が実施され、川合善明氏が56,597票の得票で当選。3期目の市長就任を果たしました。2位は16,188票を獲得した渋谷実氏(元埼玉県議・無所属)、3位は11,726票の本山修一氏(無所属)でした。

 

 この選挙結果を振り返り、私たちコレクト行政!連絡協議会から声明を発表いたします。

 

 これまで川越市長選挙の間、私たちは当会の本件「川合善明市長告発」活動について一切公表しませんでした。

 その理由は、本会活動の主旨が、今回の選挙戦で川合市長を落選に追い込むことではなく、あくまでも川合市長の公職者としての官製犯罪を追及することだからです。従いまして、今後も本会は独自の調査と法務に則した市民活動として、川合善明市長の疑惑の追及を継続して参ります。

 

 昨年、10月に私たちが行った刑事告発につきましては、捜査機関からの申し入れにより、同告発の扱い、進捗等についてこれを外部に開示しないことになっております。ただし、現在に至るまで、同告発は検察庁から「不受理」との判断を示されていない点だけは申し上げておきます。

 

 また今回の選挙戦では、川越市民有権者約29万人のうち、有効投票数は84,511票(川越市発表)でした。このことはかえって私たちには希望の光でもあります。トップ当選の川合市長による56,597票の他は、川合市政にNOを投じた市民と、元から川越市政の改革に興味や意思を持てない市民ということになるからです。

 つまり、川合市政を支持する以外の川越市民が約23万人存在するということを意味します。私たちは、この23万人の市民の皆さんの意識改革に期待します。

 

 特筆すべきことは、昨年12月に入ってから県議の椅子を捨てて立候補した渋谷実氏の16,188票という得票数です。わずかな選挙活動期間において、有効投票数の約2割に近い市民が、渋谷氏による「反川合」市政改革の声に希望を託したことになります。

 冒頭に記した通り、私たちは川越市における政治活動に与する立場にはありません。しかし、重職である埼玉県議の椅子から立ち上がって市民に訴えかけた渋谷実氏には、今後の川越市政改革に向けたご活躍を期待せずにはいられません。

 

 さらに、この選挙期間中に川合市長が、地元情報紙と政治結社を名誉棄損で刑事告訴したということも、それが事実であれば、私たちにとっても僥倖となります。

 名誉棄損の公判に場を移せば、要件事実の争いのなかで川合市政の疑惑が白日の下にさらされることになり、川合市長支持を表明しなかった23万人の川越市民にも大きくアピールすることになっていくからです。

 

 私たちの声はまだまだ小さなことでしょう。

 しかし「機が熟すとき」、本会の活動はマスメディアと世論の関心を寄せ、私たちが指摘した川合市長の官製犯罪疑惑の実態が、いまは沈黙する川越市民の志を呼び起こし、また広く日本国民の義憤の声を強めていくものと信じております。

 川越市を改革するものは、私たち市外の運動体ではなく、マスコミでもありません。川合市政に反対票を投じた市民の皆さん、また政治参加をされなかった市民の皆さんによる、23万人の川越市有権者の皆さんだけが、改革の真の力を持っています。

 

 

                 2017年1月23日 コレクト行政!連絡協議会

 

 


川合善明川越市長をさいたま地方検察庁に刑事告発  2016年10月14日


この度、埼玉県川越市行政において官製談合防止法入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反ならびに都市計画法違反が疑われる事実が判明し、弊会「コレクト行政!連絡協議会」は川越市民有志、賛同署名と共に、2016年10月14日付で本件をさいたま地方検察庁に刑事告発致しました。

※ 告発状、提出調査資料は上部バナーの「資料編」でご覧頂けます。

 

本件は、川合善明川越市長の後援会「川合よしあき後援会」の高階地区後援会会長でもある金井眞一郎氏との親密な関係から生じる官製談合と都市計画法違反です。

金井氏が経営する(株)カナイ消防機材は同市の競争入札で、平成23年~28年の6年間連続11回にも及ぶ独占的な落札をしており、また同社は当初「文具店」として開発許可を受けた市街化調整区域に本社を移転し営業を続けています。

当該地には形式上「文具店」の看板は設置されているものの、開発許可を受けた文具販売の実態はなく、市街化調整区域では法的に開発許可が得られないはずの(株)カナイ消防機材が堂々と本店を置いて営業しているのです。この事実は、当の川越市が地域情報を開示している外部サイト「小江戸川越マップ」にも明らかで、同社の本店所在地が市街化調整区域内にあることが判ります。

 

ところが川越市では、これら明白な違法行為が何年にも渡って、事実上、黙認されています。

本件は、入札結果を記載した公文書や複数の川越市行政関係者の内部告発や証言により、客観的な事実であることが明白にも関わらず捜査機関(川越警察署)が調べに入る気配はおろか、川越市議会でも本件疑惑の追及は、ただ一人の市議(落語家議員・三遊亭窓里として知られる小林薫市議)のみが取り上げたに過ぎません。

 

市内の有識者によれば「川越市長・川合善明氏は弁護士でもあり市内近隣の法律家は川合市長の意を汲む立場。また警察も市行政の疑惑を積極的に追及することがない。さらに、地方自治体の市議会も市長におもねる体質が根強く、特に川越市は前市長の時代からその傾向が色濃くある」といい、同市のこうした現状から本件については、仮に市民から追及の声が上がっても、いわゆる「行政ぐるみ」で不問に付されることが予見されるとのことでした。

そこで、川越市の利害関係に関知しない有志一同が任意団体「コレクト行政!連絡協議会」を発足させ、心ある川越市民の皆さんと共に本件を刑事告発することになったものです。

 

  コレクト(Correct)は英語で「正す、訂正」を意味します。腐敗した行政に対して、もはや「ウォッチング(監視)」だけでは無効です。市民活動と法務を連動させた具体的なコレクトで主権者の手に行政を取り戻そうという意味を込

  めて命名しました。

 

 川越市は小江戸として国外にも知られる観光地であり、4年後の東京オリンピック・パラリンピックでのゴルフ競技開催予定地でもあります。

 現在の川合川越市政では国際的な信頼にも影を落とし、オリンピック開催地としての資格を問われるばかりか、不公正な市行政の継続を許すことになります。 

地方自治体における官製談合とは「市民であるからこそ、声を上げたくても、それが出来ない」という地域社会独特のしがらみから、当該地での内部告発や追及がされにくい性質を持っています。

まして現政権首長が黙認するような官製犯罪は、なし崩しに風化し、その既得権益が次世代の官民癒着へと継承されていきます。しかし、これらは歴とした犯罪です。

 

本会発足の意義は、内部では自浄されない行政犯罪や問題の情報を、随時、本ウェブサイト上に公開、共有することで、類型の官製犯罪に言及することにあります。